ジャーナリストの有本香(ありもと・かおり)氏も同じことを考えていたようで「日本の教育機関の中に根を張りつつある『孔子学院』への警戒と監視」を提言している。下記に紹介したい。
————————————————————————————-「日本は中国と協力を」発言…第2の鳩山元首相出さないために ファーウェイの次は『孔子学院』締め出しを【夕刊フジ「有本香の以毒制毒」:2018年12月14日】
日本政府が先週7日、中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」と、同「中興通訊(ZTE)」の製品を、政府調達から事実上排除する方針を固めたと報じられた。日中関係に配慮して、2社の名指しを避け、理由も明言していないが、案の定、中国側は反発している。
日本のマスメディアは今月初め、ファーウェイの副会長兼最高財務責任者(CFO)、孟晩舟容疑者がカナダで逮捕されたことから、にわかに同社に関するリスクを大きく報じるようになったが、これは例によって「遅すぎ」感が強い。また、今回の事態が、ドナルド・トランプ米大統領の仕掛けた「米中貿易戦争」の一策として出てきたかのように言う報道もあるが、これは事実と異なる。
最近、米国の主要メディアは、今般の「ファーウェイ締め出し」を米国当局の10年に及ぶ成果だと報じている。実際、この5年ほどの間にも、米メディアが、ファーウェイによる「諜報行為」疑惑を報じたことは何度もある。
10年近く、ファーウェイを脅威と捉えてきたのは米国だけではない。中国ベッタリだった台湾の馬英九前政権ですら、2011年にファーウェイが、台湾での子会社の設立を申請した際には、これを許可しなかった。もちろん、ファーウェイ側は台湾に迂回(うかい)投資を行ってはいたものの、直接の参入には、安全保障上の懸念などを理由に「ノー」と言っていたのだ。
これらを考え合わせると、今般の日本政府の決定は、遅すぎたぐらいの話で、日本のマスメディアの周回遅れ、かつ的外れな認識には、いつもながら辟易(へきえき)とさせられる。だが、これよりもっとウンザリする、ある人物の発言が、中国情報サイトなどで報じられた。
鳩山由紀夫元首相が、中国人民日報系の国際紙『環球時報』の取材に対し、「日本政府がこのような不可思議な手段を採用して中国の一企業を制限することは、現政権がいかに米国に従属しているかという現実を表すもの」「日本は中国と協力すべきで、協調によって共同して(米国の)圧力に対処するのが正しい方法だ」などと語ったそうだ。
鳩山氏の言動については、いまさら「何をか言わんや」ではある。だが、私たち日本国民としては、事情はどうあれ、このような人を一度とはいえ、日本国総理の座に就けてしまったことを、未来永劫(えいごう)、反省し続けなければならないだろう。
そして、もう1つ、この鳩山氏のような人、無自覚なまま、中国共産党政府に協力する「北京パペット(=北京の操り人形)」となってしまう日本人を増やさないための策を、政府に求めていかなければならない。
そのために、私がいま提言したいのは、日本の教育機関の中に根を張りつつある「孔子学院」への警戒と監視だ。すでに米国やカナダでは「孔子学院が、中国共産党思想のプロパガンダ機関である」との認識が広がり、閉鎖の動きも相次いでいる。さらに、米国当局や議会関係者から、一部の孔子学院が政府関連の情報までも違法に入手するスパイ活動にかかわっている、というような発言も聞かれた。
長年、「スパイ天国」であり続ける、無防備国家・日本が、その汚名返上へ方向転換できるのか。孔子学院への対処を、その端緒としてほしいと願うところである。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)など多数。