報道関係も、台湾は中央通信社、自由時報、民視など、日本は産経新聞や読売新聞、NHKなどが取材に訪れ、野嶋剛氏や河添恵子さんなど台湾問題に造詣が深いジャーナリストも取材に訪れた。
渡辺利夫理事長の開会挨拶、参議院議員で自由民主党国防部会副部会長の中西哲(なかにし・さとし)氏による来賓挨拶に続き、仙台市長や国際教養大学教授をつとめた梅原克彦氏(台湾・中信金融管理学院教授前)の司会兼コーディネーターの下、シンポジウムが始まった。
パネリストは、許世楷(元台北駐日経済文化代表処代表、津田塾大学名誉教授)、金田 秀昭(岡崎研究所理事、元海上自衛隊護衛艦隊司令官)、浅野和生(平成国際大学教授)の3氏。
それぞれレジュメに沿いながらお話しいただいたが、やはり民進党が大敗した統一地方選挙について触れながらの発言となった。許氏は、選挙の焦点は中国ではなく内政にあり、政権の主要ポストに国民党籍大臣の起用や労働法改正で不評を買ったことなどが要因と指摘。また、浅野氏も対中問題が焦点ではなく、蔡英文政権への不満が噴出した選挙と分析するとともに、投票するまで最長で3時間46分も待ちながら、しかもそれでいて65%の投票率を示したことは、台湾の人々が民主主義への情熱を示した選挙だったと指摘した。
台湾有事については、許氏は「日本は台湾有事に際して明確に台湾側に立つことを表明実行し、米国に対しても明確に台湾側に立つことを説得勧告すべき」と述べ、金田氏は「台湾が独立性を失えば日米やASEAN諸国にとって大損失。防衛交流正常化のため非伝統的安保分野での日台防衛保安協力を追求すべき」などと指摘。また浅野氏は光華寮裁判をめぐる最高裁判決を紹介しつつ「日本には台湾に関する法律がないから最高裁のようなおかしな判決となる。早急に日台交流基本法を制定すべき」として7条からなる私案を提示した。
シンポジウムでは、同研究所の顧問をつとめるウォレス・C・グレグソン(米国元国防次官補)とジェームス・E・アワー(ヴァンダービルト大学名誉教授)両氏のコメントも発表され、長島昭久・衆議院議員も途中から参加し、日台交流係基本法を超党派で成立させたいなどと挨拶の中で述べた。
シンポジウムの模様は、本日付の産経新聞と台湾新聞が報じているので下記に紹介したい。
◆台湾新聞:日美台關係研究所 研討日台交流基本法【12月3日】 http://blog.taiwannews.jp/?p=49066
————————————————————————————-台湾有事の影響は日本が一番受ける 日米台関係研究所【産経新聞:2018年12月3日(4面)】
今年4月、日本や米国、台湾を取り巻く安全保障情勢を扱うシンクタンクとして設立された「日米台関係研究所」(渡辺利夫理事長)は2日、東京都内で「台湾有事と日本の対応」をテーマにシンポジウムを開いた。
登壇者として意見を述べた許世楷・元台北駐日経済文化代表処代表(駐日大使に相当)は、「台湾有事に最も影響力を持つのは米国。最も影響を受けるのは日本だ」と指摘。その上で、日本に期待する対応として「明確に台湾側に立つことを表明し、米国に対し台湾側に立つよう説得、勧告すべきだ」との考えを示した。
オバマ前米政権でアジア・太平洋地域の安全保障問題を担当し、同研究所の顧問に就任したウォレス・グレグソン元国防次官補は書面で、中国を念頭に「台湾への圧力を封じ、自由を確保することはわれわれの支援に値する」と強調した。
(岡田美月)