*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部で付したことをお断りします。
◆台湾ビールのパッケージに描いた媽祖廟ロゴを旧日本軍のイラストと悪宣伝
台湾ビールの限定パッケージが、統一派の標的にされたようです。台湾ビールから発売されている「金牌」というブランドが発売した、期間限定パッケージに描かれているイラストが問題視されました。発端は、中国統一派によるFacebookへの投稿です。以下、記事を引用します。
「あるネットユーザーが22日、フェイスブック上で『台湾ビールの新しい包装に、媽祖と旧日本軍のイラストが描かれている。媽祖に対する著しい侮辱であり、これは植民地時代の記念なのか、それとも植民地時代に戻りたいのか』とし、イラストが描かれた缶パッケージの写真を紹介するとともに、拡散を求めたことを伝えた。」
このことを最初に報道したのは中国系メディア「環球網」でした。ここでは上記のような内容のほかに、台湾は蔡英文総統を筆頭に媚日に懸命になっているのはおかしいと、台湾を糾弾しているような内容になっています。以下、一部を引用します。
「媚日の話題は台湾で議論になり続けており、今回の問題もほんの一例に過ぎない。先日は台湾の防空部隊が屏東で実施した閲兵式の自主訓練で日本の軍歌が用いられたことが暴露された。今年始めには、原発反対を主張してきた民進党当局が日本の原発事故被災地域の食品輸入を認めようとして台湾で大きな議論が巻き起こり、市民から痛烈な批判が出た」
この記事が荒唐無稽なことは分かっていながらも、福島県産の食品への侮辱は、やはり看過できないものがあります。「已経没有底綫了(すでに限界がない)」なのは、このメディアの悪意です。
中国では、『人民日報』で掲載されるニュースは信用できないということは常識です。すべて当局の都合のいいように作られたもので、「人民日報騙人民(人民日報は人々を騙す)」との言い方まであります。国民党に都合のいいように事実を捻じ曲げる姿勢は、メディアにおいてだけでなく、あらゆる面で見られることから、中国文化は「騙しの文化」とも言われています。
人民日報の国外版にあたる「環球網」も、フェイクニュースを流布するメディアとして有名です。これら中国のメディアは、中国共産党宣伝部の喉舌として知られ、党中央部の意向を分析するフェイクニュースの大本営としての価値しかありません。
また、この報道を受けて、台湾のアップルデイリーでも同じような報道がなされましたが、アップルデイリーの記事は台湾ビール側の言い分も掲載しています。
「日本軍の軍服と媽祖を同時に描くのは媽祖への侮辱ではないかとの意見があるが、どう説明するのか」という質問に対して、台湾ビール側は、日本軍の軍服を描いたわけではなく、イラストの人物がかぶっている帽子に描かれているのは媽祖廟のロゴであり、日本軍のマークではない。事前に許可も取っているし、媽祖を侮辱するなどととんでもないことだ。印刷が小さいから誤解を招いたのかもしれないと、釈明しています。
実際にイラストを確認すれば一目瞭然ですが、このイラストが日本軍の軍服には全く見えません。どれだけ悪意を持ってこのイラストを見ても、日本軍の制服には見えません。この荒唐無稽な言いがかりを拡散させたいのは統一派の人々ですが、台湾内ではあまり相手にされていません。台湾では、皮肉を交えて、どちらかというと人民解放軍の制服に似ているという人もいたとか。
◆暴力沙汰でも国際的に注目を浴びることが統一派の狙い
台湾では、統一派による日本批判がちょくちょくあります。2017年4月に起こった八田與一像破壊事件、この事件についてはこのメルマガでも取り上げたことがありました。
2017年9月に起こった台湾大学流血事件、これは中国の歌番組の収録が台湾大学で行われる予定でしたが、台湾大学の学生が番組側が大学名を「国立台湾大学」から「台北市台湾大学」へと勝手に名称変更したことに対して、統一工作の一環だと抗議したのがきっかけとなり、八田與一像を破壊した中華統一促進党のメンバーが学生たちを殴ったことで事件へと発展したものです。
統一派勢力は、台湾内でいろいろと姑息な活動をしていますが、なかなか成果が挙げられず、焦っているのかもしれません。その結果が、今回の台湾ビール批判へと繋がったのかもしれませんが、これはあまりにバカバカしい言いがかりだったことから、台湾でもこの話題に注目する人は少なかったようです。怖いのは暴力です。
今回のように、メディアを利用した見え見えの言いがかりは無視すればいいだけですが、像を破壊したり学生を棍棒で殴ったりという暴力に発展することだけは避けたい事態です。暴力沙汰となり、警察が介入し、国際的にも注目を浴びることが、統一派の狙いだからです。統一派はあの手この手で攻めてきます。しかし、台湾人は彼らの挑発に乗らずにすべてを静観していればいいのです。
台湾では、統一派と見なされる「中国人華僑」は、国民党政権が消えてから主に中国政府と手を組んで、反蔡英文活動を中心に工作を行っています。この工作が「反日」とともに、「反台独」を目的にした破壊活動です。
◆反中意識を高めるだけの中国による台湾への恫喝
戦後、中国から台湾にどっと入ってきた難民の武装集団が、台湾で華僑王国を築き、そのまま70年間にわたって台湾を支配してきました。しかし、時代は変ってきています。例えば、38以下の青年に「もし中国が武力侵攻してきたらどうするか」と聞くと、実に70%以上が祖国防衛に尽くすと答えています。
このことから、中国による台湾への恫喝は、逆に反中意識を高めるだけです。また、蔡英文総統や頼清徳行政院長の「実務台独」政策に対する口撃は、「効果なし」とみなされています。実際に中国の軍事力は、南シナ海における行為や台湾に向けた軍事演習を見ても分かるように、たいしたことありません。中国は、それをいかにも大げさに宣伝するから、「張子の虎」状態となってしまうのです。
毛沢東の秘書の一人だった李鋭という男は、すでに100歳を超えており、その間さまざまな国家指導者を見てきました。その彼が、習近平の知能レベルは小学生レベルだと発言しています。
中国でも習近平は「草包」、つまり「うすらバカ」などと言われているのです。