この優遇措置について、台湾では「恵台31条」と名付けて警戒感を露にしている。これも中国の台湾への圧力の一つで、頼清徳・行政院長は「台湾に恩恵を与える政策の本質は中国大陸側の利益にあり、その目的は台湾を併呑することだ」と喝破、台湾を併呑しようとする中国の目的を認識してほしいと訴えた。下記に「台湾国際放送」の記事を紹介したい。
ちなみに「恵台31条」は、「12項目が台湾企業に『中国大陸企業と同等の待遇を与えることを促進する』もので、税制面での優遇や政府主導プロジェクトへの参加を認めるとしている。残り19項目は個人に対し『中国大陸での学習や起業、就業、生活面において大陸同胞と同等の扱いを認める』もの。一部資格試験の受験許可や、医療、教育、芸術など幅広い分野での活動を容認することなどが盛り込まれた。措置は中国共産党中央組織部をはじめ29部門が合同で協議し、開放の規模は過去最大だという」(中央通信社)と伝えられている。
日本では中国のアメとムチのアメだとする論評も見受けられたが、台湾にとっては、李登輝元総統が指摘したように人材と経済的競争力の空洞化をもたらそうとする措置であり、ムチ以外のなにものでもない。頼院長が指摘したように利益は中国にあり、台湾の人々や企業にメリットはない。
—————————————————————————————–行政院:「恵台31項」は台湾併呑が目的【台湾国際放送:2018年3月6日】
行政院の頼清徳・院長が、台湾に恩恵を与える中国大陸の対台湾政策(恵台31条)は台湾を併呑することを最終目的としていると指摘した。中国大陸側は2月28日、台湾に恩恵を与える対台湾政策を31項目発表した。各界は台湾の人材の流出などの影響を懸念している。
頼清徳・行政院長は6日、立法院での答弁で、「すでに行政院の施俊吉・副院長に、関連部署を集めて会議を行い、対策を提出するよう指示したが、国民にも是非台湾を併呑しようとする中国大陸側の目的を認識してほしい。」と述べた。
頼・行政院長は、「対策を練って対応する。是非国民に知ってもらいたいのは、中国大陸側の最終目標は一つしかない。それは台湾を併呑することだ。『92年コンセンサス』にしてもほかの言い方にしてもそうだが、台湾に恩恵を与える政策の本質は中国大陸側の利益にあるのだ。その目的は台湾を併呑することだ。」と強調した。