自由時報駐日特派員・林翠儀 2018-02-19 01:03
台湾の声編集部 多田恵 抄訳 ２０１８年２月２２日
日本の台湾人団体で構成される「全日本台湾連合会」」（略称・全台連）が18日に東京都内のホテルで台湾人の新年会を挙行した。民進党の台北市長候補公認を勝ち取ると宣言している立法委員の姚文智（よう・ぶんち）氏も出席し、「首都市長」に出馬するビジョンを発表した。姚氏は半ば冗談を込めて、「中正紀念堂」を市場（いちば）にしたいと語り、在日台湾人たちの拍手喝采を受けた。
全台連は去年6月に設立され、日本の１７の既存の台湾人団体をまとめる。今年、初めて、台湾人のための旧暦の新年会を主催し、200名を越える各界の台湾人が参加した。また、立法委員の姚文智氏、林静儀氏を講師として招き、駐日代表・謝長廷氏、日本台湾交流協会理事長・谷崎泰明氏および衆議院議員・山口泰明氏が出席した。蔡英文総統も祝電を寄せ、在日台湾人が手を携えて台湾と日本の長く続く友好関係を深めるよう希望した。
姚文智氏は台北市長への出馬宣言のために、会場の注目の的となった。「翻転台北，国家首都」（新しい台北、国家の首都を）選挙スローガンとしている姚氏は、台北は台湾の国家の首都と位置づけられ、世界のほかの首都と交流をすべきであるとし、台北が日本のいずれの都市とも姉妹都市を締結していないことについて驚いたという。
民進党の公認候補選出手続きの内容はまだ発表されていないが、最近、「ダークホース」を投入するという話も出ている。先日、シンクタンク・台湾世代智庫が発表した世論調査結果によれば、グリーン陣営の支持者のうち66.5%が姚文智氏を支持しており、これに姚氏は自信を強めている。この準「公認候補選出期間」に自らの理念をしっかりと説明し、「国家首都」のコンセプトでグリーン陣営を固めたいという。
姚氏は講演の中で、首都としての景観について触れ、中正紀念堂を、南門市場の移転先にすることで、臨時市場開設にかかる２億７千万台湾ドルの費用を一気に節約することができ、（蒋介石の）銅像の下で食材を売買している様子は世界に報道され、台湾が独裁体制から離れたことを世界に告げ知らせることができるだろうとした。
姚氏は講演の概要は次の通り：
「首都市長の四つの責任 台湾の独自性をアピールし優先する」
台湾の価値について、私の定義は、ただ先進的で普遍的な「台北の価値」を追求するだけではなく、それ以上に、台湾の独自性、優先性を示す必要がある。台北は国家の首都であるから、台湾のために大きな責任を担う。台湾の価値こそ台湾に最大の利益を実現する基準である。台湾の進歩的価値の具体的実践として、2022年に台北で再び「台湾博覧会」が出来ることを期待する〔台湾博覧会は台湾総督府後援の始政40周年記念行事として1935年に行われた〕。
市長の責任は、４つある。移行期正義の実現、対等な国際交流、文明的価値観のアピール、先進的な都市の発展、である。台湾の価値を実現する首都として、移行期正義をより早く実現し、ほかの国際都市との協力を対等な関係に引き上げ、文化・古跡は保存して守り、老朽化した都市の再生も加速しなければならない。
李登輝総統は、「台湾生命共同体」というコンセプトを提案した。悲哀を持つ台湾人が、民主化と経済発展を経て、台湾を次第に幸福な国家に移行させた。中国に対しては、「特殊な国と国との関係」であると位置づけた。
会場にいらっしゃる謝長廷・立法委員（当時）は、「四つの優先」を掲げた。これに含まれる「台湾優先」というのは、国家・人民・利益を最も重視している。
蔡英文総統は、「台湾コンセンサス」というコンセプトを出した。合意形成により、台湾人民が肩を並べて共に取り組むというものだ。これらはいずれも極めて重要な台湾の価値の定義であり、不断の議論を経て、明確になったものだ。
もし、中国的視点からすれば、台北は常に辺縁部であり、その発展は限られる。しかし、台湾の価値からすれば、台北はその中核であり、独立し自主性を持つ都市である。国家の首都としての位置づけをして発展させるべきだ。
多数の在日台湾人団体の招きでこの帝国ホテルで講演することになり光栄だ。私も台湾人の一人として、在日台湾人と同じ思いを持っている。それは「台湾こそ唯一の祖国であり、命がけで頑張るのもすべて台湾のためであり、遠く離れていようとも、自らの土地と国を忘れずに気にかける」という思いだ。
台湾と日本は、同様に中国から来る脅威や天災のリスクに直面し、両国は禍福を共にしているといえる。今回の日本の台湾（東部地震）への思いやりに感謝し、在日台湾人社会が故郷台湾をこれほどまでに大切にしていることに感謝する。
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