芋秆(オォホアイ=タロイモの茎)
芋秆(ō͘-hoâiⁿ:オォホアイ=台湾語/芋荷vu-hò:ヴゥホー=客家語)はタロイモ(芋仔ō͘-á:オォアー=台湾語/芋仔vu-é:ヴゥエー=客家語)の球莖(イモ部分)と芋柄(葉に繋がる柄の部分)との間の茎の部分を指し、この部分の外側の皮を剥き、食べやすい大きさに切り、茎の下部についているイモ部分の断片も加えて、一緒に炒めたり、炒め煮をして料理にする。
筆者は未だにこの食材を使った料理をレストランや食堂などでは見かけたことがなく、家庭料理として作られたものしか食べたことがない。芋秆(オォホアイ)は若い人や都会で育った人には馴染みがないようだが、台湾の主にホーロー系(閩南系)住民、客家系住民、平埔族系住民や原住民系住民のお年寄りの方たちが大変好んで食する食材だ。
また、シラヤ族(西拉雅族=平埔族に属する)の間では芋秆(オォホアイ)を自分たちの伝統的な食材として重要視し、宗教儀式の際に糯米(もち米)や餅などと一緒に芋秆の料理も準備するという話題を台湾の報道番組の中で聞いたことがある。
筆者の知人の中に、バブザ族(巴布薩族=平埔族に属する)の御婦人で、客家人が多く住む地域で育った方がいるが、この御婦人から芋秆(オォホアイ)は平埔族がよく使う食材であるし、客家人もよく使う食材だと聞いたこともある。
調理する際の味付けは各家庭、個人によって微妙に違うが、塩や酢を加えることがけっこう重要なようだ。芋秆(オォホアイ)を柔らくしたり、アレルギー作用(芋秆を触るだけで手が黒ずんだり、痒くなる人も多い)による食べた後の喉の痒みを抑えたりする効果があるらしい。また生姜や蔭豉仔(ìm-sīⁿ-á:イムシィアー=台湾語表現で豆豉のこと)を加える人も多いし、米酒(bí-chiú:ビィチュウ=米焼酎)や醤油、砂糖を加える人や豆瓣醬を加える人もいる。
芋秆(オォホアイ)やタロイモは柔らかくなるまで煮続けるとドロドロになり、正直に言って見た目はよくない。色も紫がかった茶色というか、何か汚いものを想像させられるような色になる。しかし、その味はタロイモ独特の甘さの中に、ほんのり爽やかな酸味や苦味もあるといった何とも言えない不思議な美味しさだ。
台湾のお年寄りの方たちに、台湾料理の中で何が一番好きですか?と尋ねると、多くの人がこの芋秆(オォホアイ)を炒め煮したものだと答える。実はこの芋秆を炒め煮した料理とよく似たものが日本にもある。芋茎(ずいき)と呼ばれる、タロイモの仲間であるサトイモやハスイモなどの葉柄を使った料理だ。また芋秆は中国の華南地域でも食材として使われるようだ。このように広範囲な地域でタロイモに属するイモの茎を使った料理があるのだが、これはただの偶然なのか、単純に食文化の伝達、伝来なのだろうか?それとも我々の血統のルーツとも何か関係があるのだろうか?
なお、芋秆(オォホアイ)の漢字表記は芋莖・芋橫・芋梗などもある。また、台湾語では芋稈(ō͘-koáiⁿ:オォコアイ)という名称もある。
編集部より:「阿彰の台湾写真紀行」では、台湾在住のデザイナー、『台北美味しい物語』著者である内海彰氏が撮影した写真とリポートをお届けします。写真は末尾のリンクから取得することができます。またウェブで閲覧できるバックナンバーでは、記事とともに表示されます。
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