【阿彰の台湾写真紀行】No. 26 炸醬麵(ツァチァンミェン)

「台湾の声」【阿彰の台湾写真紀行】No. 26
炸醬麵(ツァチァンミェン)

 炸醬麵(ツァチァンミェン:華語発音)は元々中国北部の山東省が起源と言われている麺料理で、茹でた麺に、多めの油で黃醬や甜麵醬などの中国味噌と挽肉や肉の細切りなどを炒めて作った肉味噌をかけ、キュウリや大根、人参の千切りなどと一緒に食す料理だ。

 山東省以外の中国各地域にも類似したものがあるようだ。日本でも炸醬麵をアレンジしたものがよく知られており、日本語でジャージャー麺やジャージャン麺、じゃじゃ麺などと呼ばれて親しまれている。

 山東省出身の華僑や華人が多く住む韓国にも山東料理の炸醬麵がアレンジされたチャジャンミョンというものがある。黒味噌にカラメルを加えたものを使用して、タレの色が黒いことが特徴として知られている。

 台湾には第二次大戦後に台湾へ移民してきた中国人によって伝えられ、いろいろアレンジされたものが普及している。炸醬麵は台湾では中国系の麵料理店や屋台の定番料理だ。20年ぐらい前は一杯40元(160円)ぐらいで売られる安価な麵料理というイメージだったが、最近では比較的安い店でも倍以上の値段が付いている。

 台湾の炸醬麵は基本的に豚の絞肉(ká-bah=挽肉)、豆干(tāu-koaⁿ
:豆乾=干し豆腐)、甜麵醬と豆瓣醬、豆油(tāu-iû
=醤油)、米酒(bí-chiú
=米焼酎)、砂糖などを油で炒めた肉味噌ダレが使われるが、ポイントは必ず豚肉を使用することだ。肉絲(bah-si=細切り豚肉)が使われることもある。中国と同じようにキュウリなどの千切りをトッピングする店もある。

 そして豆干(tāu-koaⁿ
:豆乾=干し豆腐)を大量に混ぜる店が多い。  
最近では肉よりも豆干をメインにした味噌ダレを使用する店が多い。よく使われる麵は中国系の平たく太い白麵だが、麵を何種類か選べる店が多い。断面が丸くて、細い白麺に変えてもらうこともできる。

 店によっては手打ち麵を使ったり、包丁で麵生地を削ぎ落として作る刀削麵(戦後に中国から伝わった製法)を使う店もあるる。この刀削麵は本来、特殊技術を身につけた職人が、大きく丸めた麵生地の塊を手で抱えて、もう一方の手で包丁を持ち、水平に包丁を振って、麵生地の表面を次々に削リ出したものを茹でていく、少しいびつな形の極太麵だが、最近ではロボットにやらせている店もある。

 炸醬麵と同じく、台湾の中国系麵料理店での定番麵料理に麻醬麵(マァチァンミェン:華語発音)と呼ばれる、白麵に胡麻ダレをかけたものがあるが、炸醬麵に麻醬(胡麻ダレ)も加えた、雙醬麵(スアンチァンミェン:華語発音)も存在する。

 あまり一般的ではないが、台湾に戦前からある油麵(iû-mī)と呼ばれる、かんすい入りの黄色い麵を使う店もある。また、麵をご飯に変え、ご飯の上に炸醬をかけた炸醬飯(ツァチァンファン:華語発音)というものもたまに見かける。

※文中、ローマ字で示した台湾語の発音はおおむね次の通り:
ká-bah=カァバッ/tāu-koaⁿ =タウコア/tāu-iû
=タウイウ/bí-chiú
=ビィチウ/bah-si=バァシィ/iû-mī =イウミィ


編集部より:「阿彰の台湾写真紀行」では、台湾在住のデザイナー、『台北美味しい物語』著者である内海彰氏が撮影した写真とエッセイをお届けします。写真は末尾のリンクから取得することができます。

写真:
1炸醬麵(干し豆腐がメインのタレ)
2雙醬刀削麵
3雙醬麵(胡麻ダレも加えてある)
4炸醬肉絲麵(肉の細切りが入っている)
5炸醬飯(麵の代わりにライスを使用)
6炸醬麵(挽肉と干し豆腐のタレ)


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1炸醬麵(干し豆腐がメインのタレ)

2雙醬刀削麵

3雙醬麵(胡麻ダレも加えてある)

4炸醬肉絲麵(肉の細切りが入っている)

5炸醬飯(麵の代わりにライスを使用)

6炸醬麵(挽肉と干し豆腐のタレ)

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