【西村眞悟の時事通信】忘れるな、真の脅威は中共である

【西村眞悟の時事通信】忘れるな、真の脅威は中共である

西村眞悟

イタリアにおけるサミットが終わった直後の29日午前五時半頃、
北朝鮮がまたミサイルを我が国の排他的経済水域に撃ち込んだ。
その弾着地点は、隠岐の島から三百キロ、佐渡から五百キロであるという。

安倍総理は、記者団に囲まれて、
アメリカと共同して「具体的行動」を執ると話した。
その「具体的行動」は、
またもや「話し合い」ではなかろうな、
と思って聴いていた。
そして、マスコミでは、ミサイルや軍事や国際政治の専門家が、解説をしている。
まるで、北朝鮮の三代目の一挙手一投足に関心を集中させているが如くである。
マスコミは、漫画のような豚が笑って敬礼している無意味な姿を放映しすぎる。
そこで、この「関心集中の枠」から外に出て言い放ってみたい。

北朝鮮は、今まで、オドシとタカリを繰り返して韓国と我が国から利益を得てきた。
とりわけ、韓国の金大中政権と盧武鉉政権の時代の国家支援のうま味は忘れがたい。
金大中は、当時五億ドルの秘密支援を北朝鮮に行い、
南北首脳会談をしてもらってノーベル平和賞を受賞した。
盧武鉉政権も、北朝鮮に国家支援・秘密支援を行っていた。
そして、この度、新しい韓国大統領になったのは、
この秘密支援に深く関わった親北朝鮮の男である。
オドシとタカリが習い性になった北朝鮮が、
新しい大統領がカネを出しやすいように、
オドシから入ってくるのは習い性の為せる結果である。
今しているのが、それだ。

北朝鮮が、今までに発射したミサイルは、全て短距離と中距離である。
アメリカに届くミサイルがあるようなことを言っているが、
撃つのは中距離までである。
従って、北朝鮮は、アメリカを脅してはいるが、
巧妙にアメリカを過度に刺激してはいない。

そこで、そのアメリカは、
中距離までのミサイルを何と呼んできたのか。
それは、「シアターミサイル」=「劇場のミサイル」である。
つまり、アメリカにとって自分に届かないミサイルは、
「劇場のミサイル」=「見物するミサイル」=「傍観するミサイル」なのだ。
即ち、アメリカは、自分に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)は
「具体的行動」によって阻止するであろうが、
アメリカには届かないが日本には届く中距離弾道ミサイルは
「シアターミサイル」であり「劇場で見物・傍観するミサイル」である。
従って、安倍総理が、
この度の北朝鮮の短距離ミサイル発射に反発して、
アメリカと共に「具体的行動」をすると言っても、
アメリカは、「オイオイ、何をやるっと言うんだよ、兄ちゃん」
と思っている公算大である。

問題は、アメリカは自分の領土にミサイルが届くか否かを基準にしているが、
我が国は、自分の領土にミサイルが届くか否かを基準にしていなかったことだ。
我が国は、一九七七年九月の、ヘルムート・シュミット西ドイツ首相の
中距離核弾頭ミサイルに対する果敢な決断と行動を観て観ぬふりをしていた。
即ち、シュミット首相は、
ソビエトが西ドイツに向けて実戦配備した
中距離核弾頭ミサイルSS20に対抗して
同じく中距離核弾頭ミサイルパーシング2を導入して
ソビエトに向けて実戦配備して相互確証破壊の態勢をつくり、
その上で強力な軍縮圧力をかけてソビエトにSS20を撤去させている。
この時、アメリカは、SS20は「シアターミサイル」なので動いていない。
その十五年前の一九六二年、アメリカがキューバ危機で動いたのは、
キューバに設置されたソビエトの核ミサイルがアメリカに届くからである。

安倍総理、
今からでも遅くはない。
丁度、四十年前のシュミット首相のように、
さらにその十五年前のケネディ大統領のように、
中距離核弾頭ミサイルを導入する為の「独自の具体的行動」、
さらに、核の脅威を除去するための「独自の具体的行動」を執るべきである。
待っておっても、
アメリカは「シアターミサイル」に対しては具体的な行動はしないのだから。

次に、最も警戒すべきは、中共であることを確認するべきである。
アメリカのトランプ大統領が、
中共の習近平主席と会談し、
北朝鮮に対して強い影響力を持つ中共に、
北朝鮮を抑えるように要請し、
中共もその要請に理解を示し、応じたような情報が流れてから、
我が国には、北朝鮮問題は、
米中がしてくれる問題との雰囲気がわっと広がった。
そして、北朝鮮問題は、
米中の問題として、他人事のように眺めると共に、
中共に対する警戒感が一挙に薄れた。
これは、一番危険である。
中共こそは、ますます増大する我が国の最大の脅威なのだ。

我が国は、北朝鮮の三代目を煽てて、
そのミサイルを北京に向けさせる工作を進めることも考えてもいい。

反対に中共は、北朝鮮の三代目をダシに使って、
アメリカの要請に応えるという表向きの米中宥和路線を演出して、
アメリカと太平洋を二分して支配する覇権戦略を実践に移しつつある。

不動産屋のトランプが、
その中共との土地線引きの取引に乗らないという保障は何処にもない。

その中共の着手点が、
南シナ海の南沙諸島であり東シナ海の尖閣と沖縄本島である。
我が国政府は、北朝鮮問題での中共の「影響力行使」に期待して、
尖閣諸島における中共の攻勢の増大に警戒心を弱めているが、
これが一番危険だ。
北朝鮮の三代目が暴れれば暴れるほど、
中共は南西方面の我が国の領空領海への攻勢を強めている。

以上、北朝鮮の花火のようなミサイル発射に過剰反応していると、
今まで通り騙されることになると警告し、
我が国とアジアの真の脅威は、
中国共産党独裁国家、中共であることを強調したい。

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