メルマガ「遥かなり台湾」より転載
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今年もだんだん残り少なくなってきました。年末を目前に何かとあわただしく過ごす日々が続いて
いるかと思いますが、今年一年間ご愛読いただきありがとうございました。
本年最後の記事は最近のニュースを紹介します。
●細かく裁断された20万元の紙幣をジグゾーパズルで取り戻す
この話は11月下旬台北県であったことです。プラスチック工場を経営する林義全さんはうっかりして
銀行から借りた総額20万元(日本円約55万円)の紙幣が入ったバックをシュレッダーで粉々に裁断し
てしまったのです。ちなみに20万元の金額は台湾の大卒者の約半年分の初任給に相当するのですが、
台湾の最高額紙幣は1000元札だから、200枚もの紙幣が粉々になったのです。
うっかりして紙幣を破ってしまった場合は破れた紙幣をつなぎ合わせて銀行の窓口に持っていけば、
残っている面積に応じて新しいお札と引き換えてもらえるが、台湾では、紙幣の面積の4分の3以上
残っていれば全額、2分の1以上で半額と交換できるが、半分以上が失われた場合、その紙幣は単な
る紙きれと化してしまいます。
細切れになった大量の紙幣を前に呆然とする林さんを見て、近くに住んでいる人たちが助っ人として
駆け付け、みんなで破れた紙幣をつなぎ合わせることになったのです。
中にはジグソーパズルの達人もいて、1分間もかからず千元札1枚の約半分を完成させたのですが、
残り半分がどうしても見つからず、「破片があまりに小さく数も多いので、合うピースを探し出すの
がとても大変」と泣き言を言う始末でした。
この調子では20万元をあきらめざるを得ないと思われたのですが、救世主が現れたのです。
地元役員の協力を得て林さんが法務部(法務省に相当)調査局に破損紙幣の山を送ったところ、担当
した女性鑑識官は何とたった5日間で紙幣を復元させてしまったのです。
(法務部では破損した紙幣の復元サービスを無料で提供していて、年間約250件の依頼があるとか)
見事な腕前を披露したのは劉?芬・調査局鑑識科学調査官。彼女によると、コツは千元札の中央にある
「中華民国」の文字を探し出すこと。既に「国」の文字がある部分を186枚見付け出し、ここを中心に
周辺を固めていく作戦。でも「作業は破片が小さいため困難で忍耐を要するものだった」と話していた
そうです。裁断された紙幣を正しく継ぎ合わせたことから、30年の経歴を持つこのベテラン鑑識官に
「ジグソー専門家」の異名が名づけられたとか。
その後、復元された紙幣は台湾中央銀行によって再度使用できることが確認されており、シュレッダー
で眠れない夜を過ごした林さんはまさか一週間後には安心して眠れる夜を過ごせるとは夢にも思わな
かったことでしょう。メデタシ!メデタシ!ですね。
付記:本日の記事はブログ「台湾見聞録」に紹介してあります。
●台湾で五都市が政府直轄市に
これまで台北市と高雄市だけが直轄市だったのが今月25日から五都市になります。政府は大都市圏を
持つ地方自治体の統合を進め、当初は台北、台中、高雄の「3都市」を想定し、台南県・市の直轄市
昇格には消極的だったが、結果的に、台南の古都としての歴史的な発展を考慮して直轄市昇格が承認
されたのだそうです。
それで、その五都市とは、台北市は従来通りですが、人口が最大の台北県が「新北市」に、台中県と
台中市が合併して「台中市」に、台南県と台南市が合併して「台南市」に、直轄市の高雄市が高雄県
を吸収合併して「高雄市」となるのです。
日本人から見ると、おかしなことに県が市に吸収される形になるのです。いっそのこと戦前のように
州にしたほうが分かりやすいのに、でも州にするほど面積が大きくないからでしょうが—-。
現在、台湾の人口のうち、直轄市(台北市、高雄市)の在住者は約18%ですが、新直轄市(台北市、
新北市、台中市、台南市、高雄市)の在住者は約60%を占めることになるのです。
先月27日にはこの五都市の市長、市議員の選挙が行われました。マスコミ各社をはじめ、当の与党も
野党も勝った負けたと騒いでいますが、来年の民国100年という節目に、一体政治家は台湾の将来を
どうしようとしているのでしょうか。日本同様台湾も先行き不透明で困ったものですね。
それでは皆様、時節柄事故や健康などに気をつけられ、よいお年を迎えて下さい。