2009.3.1
台湾の声
2月28日、高雄市の歴史博物館で二二八事件62周年追悼式典が営まれた。二二
八事件は、1947年に中華民国による占領統治に不満を抱き自治を求めた台湾人を
中国国民党軍が大量虐殺した事件。
同式典には中国国民党籍の馬英九総統(大統領)が出席、台湾語(ホーロー語
)で演説し、二二八事件紀念基金会の運営継続と二二八国家紀念館の設立を約束
し、「平和、民主、人権、正義」の未来を歩むよう呼びかけた。しかし、会場で
は「台湾独立」の横断幕を掲げて抗議する民衆や、二二八事件犠牲者の遺族らか
らの激しい抗議の声が鳴り止まず、会場は騒然となった。
最近、馬総統は当時の中華民国の指導者だった蒋介石の二二八事件に対する責
任を認めた一方で、2年前に改名された「台湾民主紀念館」を廃止し、独裁者・
蒋介石の功績を称える「中正紀念堂」(蒋介石メモリアルホール)を復活させた
ことから、二二八事件の遺族らから強烈な不信感を抱かれていた。
国民党独裁時代(白色テロ時代)に家族を惨殺された林義雄・元民主進歩党(
民進党)主席は、中正紀念堂の復活に対して「台湾人に対する重大な侮辱だ」と
強く批判した。
蔡英文・民進党主席は、「まだ多くの二二八事件の資料が国民党の資料庫の中
に眠っており、国民党はそれを公開すべきだ」と訴え、馬総統に対し二二八事件
や白色テロの真相解明を求めた。
このほか、陳菊・高雄市長は、政府に対して「二二八真相和解委員会」の設置
を求め、二二八事件の際に高雄市民虐殺を指揮した元凶である彭孟緝を「忠烈祠
」(中華民国軍等の英霊を祀る廟)から除名するよう主張した。
彭孟緝は蒋介石率いる国民党軍とともに台湾に渡り、二二八事件当時は高雄要
塞中将司令として指揮をとった、軍隊を市街地送り高雄市内で無差別虐殺を展開
して、残虐な方法で台湾人を武力鎮圧した。その行動が当時の国民党政権に評価
され、台湾省警備総司令、国防部参謀総長など昇進を重ね、1969年からは中華民
国駐日大使を務めた。1997年に死亡後、忠烈祠に祀られている。