連載【三田裕次の一口コメント(13)】杉本信行『大地の咆哮』

この本は先ず「あとがき」から読むべきである。外交官として中国及び台湾に深く関わ
った著者が最後の気力と体力を振絞って書かれた「遺書」である。私の「専門」分野(台
湾関連及び外為法)から見ると些少ながら事実誤認や認識不足と思われる箇所はある。ま
た、私個人としては俄かには同意致し難い提案なども含まれているが、何れも討議をする
上での貴重な「叩き台」であり、一読をお勧めする。特にODA(政府開発援助)につい
てはかなり詳しく書かれており、一般読者は消化不良を起す可能性があるが、概要を把握
しなければ、意見は述べられないことを認識すべきである。著者の今後の御活躍に接する
ことが出来ないのは眞に残念であり、ご冥福を祈る次第である。

■大地の咆哮−元上海総領事が見た中国
■杉本 信行
■PHP研究所(2006年6月、単行本:356ページ)
■1,785円(税込)

http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E5%9C%B0%E3%81%AE%E5%92%86%E5%93%AE-%E5%85%83%E4
%B8%8A%E6%B5%B7%E7%B7%8F%E9%A0%98%E4%BA%8B%E3%81%8C%E8%A6%8B%E3%81%9F%E4%B8%AD%E5%
9B%BD/dp/4569652344/sr=1-1/qid=1162381123/ref=sr_1_1/503-2046333-6533558?
ie=UTF8&s=books


三田裕次(みた ゆうじ) 台湾史研究家。日本国広島人、昭和24年(1949年)生まれ。
同45年(1970年)、学生時代に初訪台し、その後、某日本総合商社に勤務しつつ30年以上
にわたって台湾に関与。平成5年(1993年)から日本で出版された台湾関係書籍のほぼ全て
を、台北の呉三連台湾史料基金会に納本。納本に際しては、ジャンルを問わずその全てに
目を通して、簡潔を旨とする「三田式コメント」を添付。

■三田裕次の一口コメント
 http://home.sailormoon.com/ymita/
■呉三連台湾史料基金会宛納本リスト
 http://taj.taiwan.ne.jp/koe/mita.htm
■台湾史もぐら叩き
 http://www.geocities.jp/twkiji/



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