8月23日発行の本誌でもニュースだけを紹介したが、去る8月19日、北投石の生産地、北
投温泉と日本の玉川温泉が「北投石」温泉姉妹協定を締結した。[赤の右におおざと偏]龍
斌(かく・りゅうひん)台北市長と佐竹敬久(さたけ・のりひさ)秋田県知事の立会いの
下、温泉協定書に調印した。
日本と台湾では姉妹都市や友好交流都市を提携するところが増えている。詳しくは本会
のホームページ「姉妹都市交流」に掲載しているので参照いただきたい。
ただ、増えているといってもまだ17自治体でしかなく、300から400自治体に及ぶという
中国とは比べるべくもない。現在、和歌山県白浜町と台湾・宜蘭県との間で友好都市提携
を結ぼうとしているが、自治体同士でなくとも、このような温泉協定もある。
実は李登輝元総統も訪れたことのある秋田県の田沢湖は、台湾・高雄県の澄清湖と1987
年(昭和62年)に姉妹湖の締結を行っている。以来、ほぼ毎年、相互に関係者を派遣し交
流を続けている。本年2月、澄清湖が観光用に開放して50周年となるのを記念して開いた
「澄清湖の美写真展」には、田沢湖の関係者代表が写真展の会場を訪問している。
ほとんど知られていないが、このような湖交流も日台間にはある。湖があるなら山はど
うか。
昨年の「日台共栄の夕べ」で講演していただいたアルピニストの野口健(のぐち・けん)
氏は「李登輝先生に『新高山(にいたかやま)と富士山を姉妹山提携したい』と伝えまし
たら、『それは素晴らしい!』とおっしゃってくださった。今後は新高山と富士山の姉妹
山提携を一つのテーマにしながら、これからも台湾との関わりを持ち続けたい」と述べて
いた。
新高山とは南投県にある台湾一高い玉山(3952m)の日本統治時代の名前で、野口氏は
日本一高い富士山(3776m)との姉妹山提携をめざしている。台湾が好きで日本が好きな
登山家だから発想できたことだ。その後の進展は確認していないが、本会が協力できるな
らぜひお手伝いしたいものだ。
なお、野口健氏の講演はDVD版となっていて、本会で取り扱っている。お申し込みは
下記の申し込みフォームからどうぞ。
北投温泉と玉川温泉の温泉姉妹協定について、昨日の毎日新聞秋田県版が伝えているの
で下記に紹介したい。
玉川温泉、台湾・台北の温泉と協定
【毎日新聞:2011年9月4日「ぐるっと秋田:大仙仙北特集」】
◇「北投石」が縁、観光など相互交流
仙北市の玉川温泉と台湾・台北市の北投温泉は先月19日、台北市で、温泉提携協定を締
結した。世界でも両温泉でしか産出しない特別天然記念物「北投石」が縁となった。今後
は温泉を軸に観光などの相互交流を進める。
玉川温泉の温泉水は国内でも有数の強酸性で殺菌力が強く、湧出(ゆうしゅつ)口付近
での岩盤浴も盛んで湯治客に根強い人気がある。産出される北投石は、ラジウムを放射し
健康に効果があるとされる。この北投石はもともと北投温泉で発見され、名前の由来とな
った。市や仙北市国際交流協会などが交流を続けていたこともあって、協定締結が実現し
たという。
協定の調印式には門脇光浩市長や玉川温泉を経営する湯瀬ホテル(鹿角市)の関雅文社
長も渡台して参加。両温泉の温泉水を混ぜ合わせるセレモニーの後、観光や文化・経済な
どの分野での交流を誓った。
11月上旬には台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)や観光業、台湾企業の関係者約
30人が仙北市に5日間滞在し、温泉や観光施設、市の施設などを視察するという。
関社長は「現在は台湾の方はあまり来ないが、今後は交流を深められるように準備をし
たい。県内でも玉川温泉という特色のある温泉を再認識してもらえれば」と話す。市は北
投石や酸性水処理の研究面の交流も進める方針。門脇市長は「台湾は温泉医療が非常に進
んでいる。その技術を移入して市内の温泉を活用し、医療特区を申請して台湾の医師を招