き、台湾の立法院は5月3日、「漁業法第69条1項の追加修正案を承認し、日本との漁業協定
で定められた対象水域では、日本側漁船に台湾の法令が適用されなくなる」(中央通信
社)。
一方、日本側は5月7日に「閣議で、他国の漁船の操業を取り締まる法律の政令を改正
し、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域の一部で台湾漁船の取締りを行ないことを正式
に決定」(NHKニュース)した。
このように日本も台湾も法的対応を終えているので10日の運用開始自体に変更はないと
伝えられる中、4月7日に第1回の日台漁業委員会が台北市内で開かれた。
「日台漁業委員会には、当協会の本部及び台北事務所の総務部長各1名と台湾側の亜東関
係協会関係者2名が委員として出席し、更に、日本側からは、沖縄海区漁業調整委員会の関
係者の他、水産庁、外務省、海上保安庁の関係者が出席した。台湾側は、漁業署、外交
部、海岸巡防署及び漁業団体関係者が出席した」(交流協会)という。
しかし協議は予想どおり困難を極め、お互いの主張に相違点が多く具体的な操業ルール
は決まらなかった。「協議と操業の手順で主張が合わず、参加していた沖縄県の漁業関係
者らが途中退席。次回協議へ持ち越しとなった」(産経新聞)と報じられている。
台湾の外交部は「立場に違いはあるが、ともに努力を続け年内に次回委員会を開催する
ことで合意」と発表している(中央通信社)。
すでに漁期は始まっている。農水省は「拿捕を含む取り締まりを徹底していく」として
いるが、新たな日台間の火種になる対立状況や中国がつけ入る隙を作らないようしてもら
いたい。
日台漁業交渉が初会合、ルール作りで対立点残す
【読売新聞:2013年5月7日】
【台北=比嘉清太】日本と台湾は7日、沖縄県の尖閣諸島周辺海域での操業ルールを定め
た漁業協定に基づき、漁獲量などを協議する日台漁業委員会の初会合を台北で開催した。
今月10日から、同協定が運用されるのに先立ち、ルール作りを目指したが、対立点が残
り、次回以降の協議に持ち越された。
4月10日の協定調印後、漁期を迎えた台湾漁船の出漁が活発化しているとされる。会合に
は政府関係者のほか、沖縄県や台湾側の漁業関係者も出席した。
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一方、水産庁は沖縄県周辺海域での違法操業の取り締まりを強化する。漁業取締船を4月
から1隻増の5隻態勢としているが、台湾船のマグロ漁が活発になる5月から6月にかけては
10隻態勢に増強する。林農相は7日の記者会見で「拿捕を含む取り締まりを徹底していく」
と述べた。