を主催した三重県が台湾の新北市(朱立倫市長、旧台北県)と観光に関する連携協定を結
ぶと、昨日の中日新聞が伝えている。記事によれば「鈴木英敬(すずき・えいけい)知事
が訪台し、市長と覚書を交わす」予定だそうだ。
この日台の自治体による姉妹都市提携はこれで28例目となり、去る9月9日に熊本県と熊
本市が高雄市と「国際交流促進覚書」を結んで以来で、今年に入ってすでに5例目だ。心か
ら祝意を表したい。
これまで日本の都道府県が台湾の自治体と提携したのは長野県(阿部守一知事)が初め
てで、昨年(2012年)11月1日に高雄市と教育観光協定を結んだ。続いて群馬県(大澤正明
知事)が立て続けに彰化県(2012年12月17日)、台中市(2012年12月18日)、高雄市(20
13年3月4日)の3自治体と友好協力協定を締結している。そして、先に述べた熊本県と熊本
市が今年9月9日に高雄市と「国際交流促進覚書」を結んでいる。
本誌でもお伝えしたように、三重県で日台観光サミットを開催しようと強い意欲を示し
たのは鈴木知事(39歳)。鈴木知事は日台交流を続ける「龍馬プロジェクト」のメンバー
でもあり、今回の日台観光サミットは愛知県知多市での開催が内定していたが、鈴木知事
や県議会のトップセールスが実り三重県での開催にくら替ったという。鈴木知事はまた昨
年7月、歴代三重県知事として初めて訪台、花蓮県で開かれた「日台観光サミット」に参加
している。
ちなみに、新北市の朱立倫市長(52歳)は国民党所属で、ポスト馬英九として2016年総
統選挙の有力候補と目されている。
台湾の報道によれば、朱市長は「日本は台湾の最も重要な経済パートナー」と表明して
いるそうで、去る7月20日に行われた輔仁大学の学生との座談会では「第2外国語が話題と
なり、大学院で金融と会計を学んだ朱氏は、自身の経験から言えば日本語を推薦したいと
提案。……日本語を学びコミュニケーションの手段を増やすことは有意義な選択だと勧め
た」(中央通信社)という。日本に関心の深い市長のようだ。
それにしても、昨年から今年にかけては日台の自治体が姉妹都市関係を結ぶ事例が多
く、この三重県と新北市で10例目だ。昨年10月8日に北海道網走郡の津別町が彰化県の二水
郷と友好都市を結んでからまだ1年。1年間で10自治体は初めてのことだ。
日台間は自治体ばかりでなく、報道、鉄道、山、湖、水道、温泉などさまざまな分野で
提携し始めている。スカイツリーと台北101も提携している。ほとんどが昨年から今年にか
けての提携だ。まさに「日台共栄」豊穣の年と言ってよい。日台の絆は網の目のように広
がり深まっている。
県、台湾・新北市と協定 観光で連携
【中日新聞:2013年9月24日】
県は10月下旬、台湾北部にある最大都市の新北市と観光に関する連携協定を結ぶ。新北
市には行政区画の「三重(サンチョン)区」があり、共通の地名が取り持つ縁で交流促進
を目指す。鈴木英敬知事が訪台し、市長と覚書を交わす。
鈴木知事が24日の県議会一般質問で、青木謙順議員(自民みらい)に答弁した。
新北市は、台湾の中心都市の台北市を取り囲む形であり、人口は三重県の2倍超の約400
万人で台湾最多。3年前の合併により誕生する前には旧三重市が存在し、同市議会と三重県
議会が2008年に友好協定を結ぶなど、縁は深い。
鈴木知事は、5月に志摩市であった日台観光サミットの成果を強調し「具体的な施策とし
て、日台双方の共通事項をテーマにした地域間交流の推進に取り組むことになった」と説
明。自身の訪台については「最大マーケットである新北市での交流促進に向け、トップレ
ベルの人脈作りをしたい」と述べた。
協定により、旅行商品などを相互にPRするための枠組みを決める。県の国際展開の基
本方針では、台湾はタイとともに「重点地域(国)」の位置付け。観光誘客では、今年1年
間に台湾から県内への宿泊者数2万5千人を目標に掲げている。
(安藤孝憲)