が、東北6県の台湾への眼差しは熱い。秋田県、岩手県、山形県、青森県などは知事による台湾へ
のトップセールスを毎年のように実施している。
昨年だけでも台湾からは約363万人もの観光客が来日している。この観光客誘致を主とした活動
が主となっているが、何といっても「足」の確保が第一で、定期便が就航している宮城県は別とし
て、岩手県や秋田県は定期便就航に特に力を入れているようだ。
7月1日、岩手県の旅行会社、岩手県北観光(いわてけんぽくかんこう)が「台湾における岩手、
東北の魅力の発信、訪日旅行関係の情報収集力強化と台湾の旅行会社との関係強化を目的」とし
て、台湾事務所を開設した。
同社のホームページで台湾事務所の住所などを公開しているので下記に紹介するとともに、日本
経済新聞の記事をご紹介したい。
ちなみに、台湾に事務所を設置している日本の自治体は、与那国町(2007年5月)、山口県美祢
市(2012年7月)、静岡県(2013年4月)の3自治体。一方、中国に事務所を設けている日本の自治
体は58にものぼる(2012年4月現在)。
◇ ◇ ◇
・名 称:株式会社岩手県北観光台湾駐在員事務所
(日商岩手縣北観光股份有限公司台灣代表人●事處)●=辨のリが力
・所在地:104‐89台北市中山区南京東路二段160号3F
3F, No.160, Section 2, Nanjing E Rd, Zhongshan District Taipei City Taiwan 104-89
・常駐者:林 孟儀
・開設日:2016年7月1日
http://www.kenpokukanko.co.jp/cms/storage/6/6/upi6rvwd.pdf
岩手県の旅行会社、観光誘客で種まき 台湾に駐在員事務所
【日本経済新聞:2016年7月23日】
岩手県の旅行会社、岩手県北観光(盛岡市)が県内を訪れる外国人観光客の拡大に取り組んでい
る。台湾に駐在員事務所を開き、現地のニーズ収集を始めた。一方で日本人の海外旅行も強化して
おり、旅行商品を独自に企画・販売できる第1種旅行業者に登録した。県は花巻空港―台湾の定期
便就航を目指しており、需要開拓で後押しする。
7月、台北市の商業ビル3階に事務所を開いた。日本語学校講師だった女性を採用、現地スタッフ
として常駐させている。東北の旅行会社で、台湾に拠点を置くのは初めてだ。
岩手をはじめ東北の観光地や食材・食文化などの魅力を発信するほか、現地の旅行会社との関係
を強化して訪日を希望する客の要望やニーズを細かく収集する。安全で質の高い旅にすることでリ
ピーターの増加につなげる。
観光庁から第1種旅行業者の登録が認められたのは6月。これまでは第2種で、海外旅行は大手の
ネットワークを活用してホテルや交通の手配をしていた。今後は独自の海外旅行商品を企画し、販
売することができる。県内だけでなく青森や秋田の旅行会社とも連携し、アジア圏を中心とした旅
行を展開する。
花巻空港―台湾間では2014年から春と秋に定期チャーター便が運航している。今春の搭乗率は
87.6%(前年同期比5.4ポイント増)。運航する中華航空と岩手県は17年にも定期便化を目指して
いる。台湾の事務所開設と第1種登録により、チャーター便の高い搭乗率を維持し、岩手県初の国
際定期便の実現に協力する。
同社がインバウンド(訪日外国人)の拡大に積極的に取り組むのは、東日本大震災以降、訪日客
がなかなか増えないことへの危機感がある。
日本全体でみれば訪日客は急増しており、15年は過去最高の1974万人だった。今年は昨年を上回
るペースだ。さらに政府は20年までに4000万人に増やす目標を掲げる。だが東北ではようやく震災
前の水準に戻った段階。15年に東北6県を訪れたのは全体の約2%にすぎない。
昨年10月には中国人の訪日旅行を扱うため「中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議
会」に加盟した。中国人客の査証取得のため身元保証書の発行が可能となった。東北ではJTB東
北(仙台市)に次いで2社目。中国との定期便がある仙台空港を活用し、中国人客の受け入れも強
化する。
同社の相馬高弘・インバウンド事業推進室長は「外国人に東北の知名度は低いが、何とかして訪
日客の流れを東北にも持ってきたい。交流人口を増やすことで震災からの復興も推し進めたい」と
話している。