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「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
馬英九訪中VS蔡英文訪米の中、台湾民意「米台友好は必ずすも台湾にいいわけではない。」(遠藤誉、筑波大学名誉教授、中国問題グローバル研究所所長)という論評が4月1日つけのヤフーニュースで発表された。
この論評はむしろ台湾の民意とは逆の内容になっている。
遠藤誉氏が根拠にした台湾民意基金会の世論調査。
設問自体が誤解されやすい内容になっているが、
台湾で使う中国語と中国で使う中国語の表現の違いから誤解が生まれている。
遠藤誉氏の和訳は、
「アメリカが台湾に友好的なのは、必ずしも台湾にいいことではない」となっているが、設問の意味は「ある人が「アメリカが台湾に良くしても、これは自分の利益の為であって、台湾に対して決して良いことをやろうとしているわけではない」」と「ある人が「アメリカが台湾に良くしても、これは自分の利益の為であって台湾にとって必ずしも良いことではない」」と台湾の言葉では両方解釈できる。
この誤解されやすい設問、同じ台湾民意基金会が同時に行った別の設問を見れば、台湾がこの設問の真意が分かる。
「台湾米国は利益共有。」
米国の中国抑圧は台湾に必要(61.1%)
米国の中国抑圧は台湾に必要ない(21.7%)
もしアメリカが台湾に有効なのは台湾にいいことではないという調査が、
遠藤誉氏の解釈の通りであれば、
同じ台湾民意基金会の世論調査が別の質問でも、
台湾は反米が多いという結果が出るはず。
実際は台湾は親米が多いことが分かる。
また遠藤誉氏は他にも五つのネット世論調査を利用して紹介している。
これは台湾ヤフーのネット調査。
一つ目の質問:馬英九は74年以来、初めて大陸を訪問する元総統になる。これについてどう思いますか?
大変良いと答えたのは71.0%
二つ目は【「民進党陣営(緑陣営)は「馬英九の大陸訪問は2024年の総統選に影響を与える」と言うが、あなたはそう思いますか?】
「2024年の総統選に影響がある」は「絶大な影響11.9%」、「それなりに影響25.3%」、「やや影響28.4%」を合計すると、全体で「65.6%」が「影響がある」と見ていることがわかる。(原文)
蔡英文の外遊に注目していますか?
「注目している」のは、「非常に注目10.4%」と「やや注目14.2%」を合わせて、わずか「24.6%」に過ぎないのだ。(原文)
今回の蔡英文の外遊は、台米関係に有益だと思いますか?
「非常に有益8.6%」と「それなりに有益8.6%」を合わせても「有益」と回答したのは全体の「17.2%」にしか達せず、「あまり有益ではない17.8%」と「全く有益ではない56.4%」を合わせると、全体で「74.2%」の台湾人が「有益ではない」と回答しているのだ。(原文)
なお、民意調査の結果と異なり、現在のところ民進党の方が支持率が高いのは、総統選候補に関して民進党は候補者をいち早く一人に絞ったのに対して、国民党の方はまだ決めてないからだろう。おそらく国民党は台湾民衆党との連立を組もうとして、候補者決定に難航しているものと推測される。(原文)
以上の内容は実際の台湾の事情を捻じ曲げて遠藤誉氏が解説している。
まるで認知作戦の一環になるような書き方。
台湾のネット調査はまず台湾人は基本信じていない。
なぜなら中国のネットユーザーが影響を与えようとしているから。
台湾ヤフー自体は中国寄りの媒体。
台湾ヤフーは中国時報(中時電子報)の記事を紹介することが多い。
2014年5月17日(中時電子報)のネット世論調査によると、
国民党候補は支持率100%
民進党候補は支持率0%
実際11月19日の開票結果を見ると
国民党候補の得票数は54万票(得票率30%)
民進党候補の得票数は99万票(得票率68%)
もし台湾のネット調査に信ぴょう性があれば、
ここまでかけ離れた結果にならない。
自分の都合の良い世論調査を引用とすると、
世論調査の真意を誤解することがある。
実際の台湾の民意は親米である。
Taiwan Voiceでは影響力のある論文でも、
事実と違うことがあれば、
その材料をみなさんに提供する。
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