【NEWS解説】立法院占拠、今はどうなっている?

【NEWS解説】立法院占拠、今はどうなっている?

台湾の声ニュース 2014.4.9 22:30

立法院を占拠している黒色島国青年陣線を中心とする学生たちは、明日の18時(台湾時間)に立法院から退去するという声明を出した。

占拠した本会議場の修復がボランティアによって進められているほか、中央研究院の研究者の依頼で、プラカード等が、史料として中央研究院に提供される模様。

修復に費用がかかることについて、王金平院長は、自分がポケットマネーでまかなうという発言をした。王院長は、その資金が鴻海(Foxconn)グループの郭台銘会長の資金かという質問に対して、答えずに、ただ笑顔を見せたという。郭台銘氏は、今回、協定支持の立場から、積極的に動いており、7日には警政署(警察庁)を訪れて、「慰問金」を渡している。

なお、馬政権は、羅瑩雪・法務部長を通じて、学生たちの違法行為を追及する姿勢を示している。これに対し、李登輝・元総統は、それに反対する見解を示している。立法院を出る学生たちには、馬政権による法の名を借りた報復が待っている可能性が高い。

今回の「反密室協定」の動きは、芸能界にも波及していて、メイデイはもとより、『イタズラなKiss』、『蘭陵王』などの代表作があるアリエル・リン(林依晨)も、慎重な審査を求める発言をしている。一般的に、芸能界には国民党の影響力が強いなかで注目される。

王金平氏の「先に監督法制を立法する」という提案について、いずれも国民党に属する台北市長および台中市長はすぐに肯定的な見方を示し、新北市長の朱立倫は、若干遅れて、「立法院を尊重する」という見方を示した。

学生たちは、戦場を立法院から街頭に移し、馬英九の意を受けて動く議員への落選運動である「割闌尾」運動を行っている。これは虫垂炎切除を表す中国語であるが、「闌尾」と「藍委」(ブルー陣営の議員)が同音である。

また、今回の立法院占拠に加わった、「基進側翼」などからなる「自由台灣陣線」が、立法院占拠を継続することを表明している。本会議場の占拠を続けるのか、立法院前での活動を続けるのかは両方の主張が伝わってくる。

また、中天テレビの番組で、今回の学生運動に参加し、その美しさと凛々しさから「女王」と呼ばれている女性の写真に対して、出演者がその写真の服を脱がせるような猥褻な仕草をし、なかなか謝罪しなかったことで、婦人団体らが抗議し、「基進側翼」などがデモをかけた。中天テレビは、中国の意を受けた番組作りをしていると批判されており、今回のヒマワリ学生運動では、敵視されているほどである。

今回、郭台銘氏の動きが、目立っている。中国に投資した企業グループの代表が、台湾の総統選挙の際などに、中国の意を受けた発言をして世論を動かそうとするケースがよく見られる。

馬政権が、協議審査を強行した場合に、今後の選挙で国民党が敗退することを中国が恐れて、国民党内の反馬派が協定審査の主導権を取るように望んだのかもしれない。

王金平氏らの動きが、台湾の対中国関係の透明化に役立つのは歓迎であるが、結果として国民党の延命に繋がってしまう懸念がある。いずれにせよ、馬英九のレームダック化がますます進むことは間違いない。(多田恵)


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