いる皇族訪台再開に期待
2019/10/16産経新聞
22⽇に⾏われる天皇陛下の即位の礼を祝うため、台湾政
財界の知⽇派が、昭和天皇が皇太⼦時代に⾏った台湾⾏啓
(ぎょうけい)の際に植えられた桜や⽵、ガジュマルの苗⽊
を⽇本に寄贈する計画を進めていることが分かった。複数の
関係者が明らかにした。受け⼊れる⽇本側の賛同者とともに
「桜⾥帰りの会」をつくり、19⽇に東京・港区の明治記念
館で⽬録の贈呈式を⾏う予定だ。(⽮板明夫)
台湾側の「桜⾥帰りの会」では、李登輝元総統夫⼈の曽⽂
恵⽒が名誉会⻑、李登輝時代に政務委員(閣僚)などの要職
を歴任した⻩⽯城⽒が会⻑を務める。許世楷・元台北駐⽇経
済⽂化代表処代表(駐⽇⼤使に相当)、趙中正・全⽇本台湾
連合会会⻑などが発起⼈として名前を連ねる。
受け⼊れる⽇本側では、安倍晋三⾸相の⺟親で書家としても知られる安倍洋⼦⽒が名誉会⻑、
外交評論家の加瀬英明⽒が会⻑を務める。⽬録贈呈式には、謝⻑廷・台北駐⽇経済⽂化代表処代
表も出席する。
⾥帰りするのは、1923(⼤正12)年4⽉、当時の摂政宮皇太⼦裕仁親王の台湾⾏啓にち
なむ植物。桜は台湾⺠衆が親王を歓迎するため、宿泊先である台北・草⼭賓館までの道路両側に
植えたもの。⽵とガジュマルは、親王が屏東と台南で⾃ら植樹されたものだという。関係者は、
それぞれの苗⽊数株を⽇本に寄贈し、皇室ゆかりの各地に植えたいとしている。
苗⽊を⽇本に⼊れる際には植物検疫などの⼿続きに⻑時間を要するため、台湾側の関係者は即
位の礼の前に来⽇し、まずは⽬録を⽇本側に渡すことにしている。
台湾側の⻩⽯城会⻑は産経新聞の取材に対し、「今回の『植物⾥帰り』を通じて台湾と⽇本の
太い絆を改めて確認し、双⽅の関係をさらに発展させたい」と話した。
⽇本側の会⻑、加瀬⽒は「⼤変ありがたい話であり、うれしく思います。これからは、全国各
地の昭和天皇と皇室ゆかりの地に声をかけ、台湾の皆さんのご厚意を広げていきたい」と話して
いる。
■良好な対⽇感情反映
昭和天皇は皇太⼦時代の⼤正12年、台湾を訪れて計12⽇間滞在され、台北、台中、台南、
⾼雄など北から南へ各地を回られた。皇太⼦裕仁親王を歓迎するために⺠衆が植えた桜や、親王
が⼿植えされた⽵やガジュマルは⼤事に育てられ、今では観光スポットになっている。特に台南
https://www.sankei.com/module/print/index.html
2/2
の国⽴成功⼤学構内にあるガジュマルは、⼤⼿保険会社の商標に選ばれるほど⽴派な姿となり、
地元では、結婚記念撮影の背景としても⼈気を博しているという。
同じく⽇本による統治を経験した韓国では、⽇本時代に植えられた樹⽊を「⽇帝時代の残滓
(ざんし)」とし、伐採を推進している。これとは対照的に、台湾では⺠衆の対⽇感情の良さを
改めて実感させられる。
今回の「桜⾥帰り」計画は、即位の礼の⽇程が決まる数カ⽉前から準備が進められた。台湾の
政財界など多くの著名⼈の賛同を得ている。関係者によれば、事務局が植物を管轄する台湾の当
局者と交渉する際も協⼒的で「⽇本の新天皇即位を祝うためなら」とわがことのように喜んでい
た。
しかし、22⽇に⾏われる即位の礼で、⽇本政府は約200の国や機関に招待状を送ったが、
台湾は含まれていないという。反⽇政策を推進してきた中国の王岐⼭国家副主席や、韓国の李洛
淵(イ・ナギョン)⾸相も出席するが、⽇本皇室に最も好意を抱く台湾の政治家は⽴ち会えず、
多くの⽇台関係者を落胆させている。
台湾での研究によれば、戦前、裕仁親王をはじめ⽇本の皇族27⼈が台湾を訪問された。しか
し、その後、中国への配慮などから、⽇本の皇室関係者と台湾の交流は途絶えている。
今回の「桜⾥帰り」で⽇台の太い絆が再確認され、皇族の台湾訪問実現につながることを多く
の台湾⼈が期待している。
◇
台湾⾏啓 1923(⼤正12)年の摂政宮皇太⼦裕仁親王による台湾ご訪問。軍艦「⾦剛」
で4⽉12⽇に横須賀港を出港し、16⽇から27⽇まで台湾に滞在された。台北駅に到着され
た際には、同市の当時の⼈⼝約17万⼈の半分を超える10万⼈の出迎えがあった。台北、台
中、⾼雄、台南といった主要都市をはじめ60カ所以上を視察され、200以上の祝賀⾏事が催
されたとの記録がある。帰路の29⽇、洋上で22回⽬の誕⽣⽇を迎えられた。
—
台湾の声
バックナンバー
http://ritouki-aichi.com/category/vot
登録/解除
http://taiwannokoe.com/register.html
Facebook
https://www.facebook.com/taiwannokoe
※この記事はメルマガ「台湾の声」のバックナンバーです。
講読ご希望の方は下からお願いします。