文雄】欧州はようやく中国の異常性に気づき始めた
黄 文雄(文明史家)
【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より転載
◆中国人親子3人が起こした騒ぎでスウェーデンと中国の対立が激化
中国とスウェーデンの対立が激化しているということが、ニュースで伝えられています。発端
は、ストックホルムを旅行で訪れた中国人親子3人が9月2日深夜、ホテルに予約日の1日前に到着、
中国人側はロビーで待機することを求めたものの、ホテル側はこれを拒否しました。そこで中国人
側が大騒ぎしたためにホテルは警察に連絡し、中国人親子は強制退去させられました。
この事件がSNSを通じて広く拡散し、スウェーデンの桂従友駐スウェーデン中国大使がスウェ
ーデン警察に事情問い合わせを行い、同国政府を批判する事態に発展しました。
桂大使は、「スウェーデン警察は中国人親子をホテルから強制退去させ、深夜で気温も10度以下
にもかかわらず、郊外の墓地に連れて行って放置した。中国人客のうち2人は高齢者であり、その
うち1人は病気だった。スウェーデン警察の粗暴な扱いにより、生命の安全が脅かされ尊厳が傷つ
けられた」と批判しています。
さらには、「まさか、スウェーデン政府やスウェーデンの法律は、人権を尊重せず、人権の尊厳
を尊重しないのではあるまいな」とまで非難しています。
◆スウェーデンの娯楽テレビ番組に駐スウェーデン中国大使館が猛抗議
そして、騒動はこれだけでは済みませんでした。9月21日には、スウェーデンの娯楽テレビ番組
が、この中国人親子がホテルから強制排除される様子を撮影した動画を放送したのです。その動画
には、警察官2人に両手両足を持ち上げられて運び出される中国人が「This
is killing(これは殺
人だ)」と何度も叫んでいる姿が映し出されていました。
そして、そのニュースを伝えるキャスター役がその口真似をする場面では、観客の笑い声がかぶ
せられていました。
番組では、現地リポートに見立てて、女性リポーターが中国人に話しかける設定のコーナーもあ
り、そこでは女性リポーターが、中国人のスウェーデン訪問を歓迎するとともに、中国人に対して
いくつかの注意をうながす、というものでした。
リポーター役の女性は、中国人に対して「歴史的建造物の周囲で大便をしてはいけません」とア
ドバイスします。そこで画面に「大便禁止」のニセ標識が映し出されました。要するに、マナーが
悪く、どこでも大小便をする中国人を皮肉っているわけです。
また、「私たちスウェーデン人はトイレで大便がついたら手を洗います」「スウェーデンで犬を
散歩に連れている人を見かけても、それは昼ごはんを買ってきたのではありません」「私たちス
ウェーデン人はナイフとフォークを使って食事をします。そして食事中には大便をしません」など
とも述べたそうです。
暗に、中国人は不潔だとほのめかし、犬を食べる習慣があることを茶化しているのです。
さらには、「あなたたち中国人は人種差別主義者ですが、スウェーデンでは、黒人も大人もアラ
ブ人も同性愛者も暮らしています。なぜならスウェーデン人は、ひとりひとりの平等な権利という
原則を支持しているからです。でも、この原則はあなたたち中国人には適用されません」などとも
述べたそうです。
当然ながら、中国の駐スウェーデン大使館はこのテレビ局に対して、中国と中国人を侮辱したと
して猛抗議を行ったと発表しました。大使館では、番組中の中国地図にチベットと台湾がなかった
ことも問題視し、「中国の主権と領土の完全性を著しく侵害した。関連番組は人類の道徳の最低ラ
インを超え、人の良知に対する重大な挑戦であり、メディアの職業道徳に対する重大な違反だ」と
表明しました。
◆中国とスウェーデンの対立は銅鑼湾書店の親会社オーナー拉致で激化
冒頭の記事にもあるように、もともと中国とスウェーデンの対立は、香港で習近平批判本を販売
していた銅鑼湾書店の親会社オーナーで中国生まれスウェーデン国籍の桂敏海氏が、2015年10月、
中国当局にタイで拉致されたことから激化しました。
桂氏は、過去に中国浙江省で女性1人を死亡させた交通事故を起こし、執行猶予付き判決を下さ
れましたが、その執行猶予期間が終わらないうちに他人の身分証を使って中国から出国していました。
桂氏は中国当局に拘束された後、「過去の事件の罪を償うために、自ら中国に戻って出頭した」
というコメントを出していますが、スウェーデン当局は「タイ国内で中国当局によって拉致され
た」という見方をとっているため、両国の対立が激化していたのです。
2016年1月には、人権派弁護士を支援した疑いで、中国当局がスウェーデン人活動家を拘束する
という事件も起こっています。このスウェーデン人活動家は、中国国営テレビに登場し、自ら「中
国の法律を破った」ということを「自白」「謝罪」しました。その後、この活動家は釈放され、国
外退去になりました。
中国に拘束された2人のスウェーデン人が、自らの罪を「告白」しているというのも、奇妙なこ
とです。公の場で無理やり罪を自白させ、謝罪させるというのは、文化大革命時代にもよく見られ
た光景です。
スウェーデンのテレビ局の番組責任者は中国の猛抗議に対して、問題の番組はコメディであり、
「謝罪する意思はない」とし、「中国人はユーモアとは何かを理解していない。彼らはわれわれの
意図を誤解している」と述べたそうです。
たしかに、このテレビ番組の表現はかなり挑発的です。日本で同様のことをやれば、「差別」だ
として日本国内からも大バッシングを受ける可能性があります。
とはいえ、発端となった中国人親子の観光客の振る舞いやこのテレビ番組については、中国国内
からも「マナー違反だから強制排除されて当然」「中国人は外国でも痰を吐いたり、公共の場所で
子供に大小便させている。中国人側のマナーが悪いから、侮辱されるようになった」という声が多
数上がっているようです。
◆ヨーロッパでも意識されるようになった中国人のマナーの悪さ
日本でも今年1月に成田空港で、悪天候のために欠航となったことに憤慨した中国人観光客が大
勢で国歌を歌って大暴れしたという事件がありました。中国人のマナー違反は世界各国で報告され
ていますが、観光大国のスウェーデンも中国人の傍若無人な態度に、我慢の限界なのでしょう。
私はかつての一時、ホテルで原稿を書く時代がありました。そんなとき、顔なじみのベルキャプ
テンから、「今日は『あちら様』がいっぱい来るので、バイキング形式の朝食は早めに終わらせた
ほうがいいですよ」とアドバイスを受けたことが何度かあります。
「あちら様」とは中国人のことですが、バイキングのサラダボールや他の料理の容器を自分の
テーブルに持っていって独り占めしたり、バターやジャムを自分のバックに入れて持ち去るため
に、あっというまになくなってしまうということがよくあります。中国人ツアーが去った後に残る
のは、地面に散乱された食いカスだけ、というのがよく見られる光景です。
中国人は官・民を問わず、ほとんどが自己・自国中心ですから、自由にしたらバラバラになるた
め厳しい管理をしないとどうにもなりません。私は中国へ進出している台湾の企業の社長たちと話
をするのですが、たいてい中国での企業経営は「独裁専制」しかないという点で一致しています。
自由にしたら、会社は絶対に潰れると、彼らは断言します。人権どころの話ではありません。人
間不信の社会ですから、相手の口車に乗ってしまうほうが悪いのです。工場に運送トラックがやっ
てきたら、まずトラックの鍵を預かってから積荷を載せないと、急発進で持ち逃げされてしまうこ
とがしばしばあるといいます。
もともとインドネシアやマレーシアなど、アジアでは傲慢な華僑に対する反発が強かったのです
が、現在の中国が経済成長を重ね、欧米にまで多くの中国人が旅行するようになると、その私利私
欲で強欲な態度とマナーの悪さがヨーロッパでも意識されるようになったのです。
◆世界で大きくなりつつある「中国人問題」
18世紀初頭の清の康煕帝の時代、人頭税が廃止されたことで中国大陸では人口が爆発的に増大、
中国人は世界各地に拡散していきました。19世紀には「ピッグトレード」という中国人奴隷の海外
輸出も盛んに行われるようになり、それがアメリカやカナダなどで中華街ができた原因となりました。
そして現在は、グローバル化と中国人の富裕化にともない、中国から脱出して他国へ行きたい中
国人が激増しているわけです。しかし、他国へ行っても中国人は中華街のように自らのコミュニ
ティをつくり、ほとんど地域と溶け合わず、しかも「郷に入っては郷に従う」という姿勢がなく、
マナーも悪くて傲慢な中国人に対する嫌悪感情も高まっています。
2017年3月には、中国メディアの今日頭条が、欧州各国において「難民を受け入れるべきという
声があっても、中国人移民を受け入れるべきとの声がない」理由を考察する記事を掲載したことが
話題となりました。
中国人との文化摩擦や文明衝突は、世界各地だけでなく、中国と香港、農村と都市の間でも起
こっています。それは主にマナーや道徳の問題として、よく報じられています。たとえば街中で大
小便をするとか、地下街や地下鉄でカップラーメンを食べる、買い物もせずに裸で店内のクーラー
前を陣取り、でかい声で談笑するなどということが、問題視されているのです。
中国政府も中国人が出国する際の注意事項について、パンフレット配布や説明会を開催していま
すが、文化生活は一朝一夕では変わりません。だからいたるところで衝突が発生しているのです。
今回のスウェーデンでの一連の騒動は、まさにこうした中国への悪感情が一気に吹き出したもの
だったのでしょう。だからテレビ番組も確信犯的に中国人を茶化しているのであり、また、抗義に
対して謝罪も拒否しているのだと思います。
「中国人問題」が世界で大きくなりつつあることを示す、一つの出来事だと思います。
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