Andy Chang
五都選挙が民進党の敗北に終って民衆は意気消沈している。初めから
勝ち目がないと思っていたが、選挙で興奮していたので誰も聞く耳を持た
なかった。
国民党は反政府エネルギーを消費するため毎年選挙をやる。選挙は国
民党の詐欺手段である。一回の選挙で何十億という金を使うだけでなく、
勝つ見込みがあると思わせて博打のような興奮状態に追い込む。選挙に
勝っても金と反政府エネルギーを消費つくして人民はおとなしくなる。選
挙に負けたら意気消沈してファイトをなくす。
国民党の選挙体制は万全で、金、ヤクザ、メディア、里長村長の民衆管
理体制、農會、漁業会などの会員コントロール、政商の馴れ合いなどが
国民党の選挙である。台湾の選挙は国民党の経営するイカサマ博打の
ように勝ち目はない。人民は今回の敗北で目覚めるべきだ。
●蒋経国が主導して民進党を作った
台湾の玉山週報(Formosa Weekly)第67号(2010年9月23日)に葉文豪
記者の書いた「民進党の組織は蒋経国の主導で作られた」と言う記事が
ある。蒋経国は中華民国が民主化したように見せるため、国民党に対抗
するような傀儡政党を作ったのである。1986年9月28日に台北のグランド
ホテルで成立式を挙げた民進党は、会場の斡旋、ホテル内外に配置した
総数二千人に及ぶ特務、盗聴器も据えつけていたと言う。
この記事によると、民進党が成立した二週間後の10月7日に、蒋経国が
ワシントンポストの経営者キャサリン・グラハム女史と会見し、新しく成立し
た政党は必ず3条件を遵守する約束があると述べた。その3条件とは、
「1」中華民国憲法を遵守すること、「2」反共政策を支持すること、
[3]台湾独立と縁を切ること、であった。
この条件の通り民進党は中華民国に反対しない、台湾独立建国をやらな
い。しかし民衆は今でも民進党が台湾建国を目差す政党と思っている。
民進党は緑色は独立建国の象徴だと人民を騙し続けてきたのである。
●傀儡政党の変遷
成立当初の民進党は、黨綱領第一条に「台湾の主権により、独立建国、
憲法制定によって法制体系を台湾社会の現実に符合したものとし、国際
法の原則に従い国際社会に復帰する」と書いてある。
しかし1999年5月の第8次全国代表大会において民進党は「台湾前途
決議文」を発表し、中華民国の憲政に条件付の承認を発表し、独立建国
の条項を除去した。この決議文の発表の後、民進党は独立建国を放棄し
て名実共に国民党の傀儡政党となったのである。
今年2010年の五都選挙に臨んで、民進党はなぜ1999年の決議文から
独立建国を削除したかと質問を受け、党首・蔡英文は2010年には新綱領
を発表すると述べた。しかし選挙が終ったいまになても新綱領は発表され
ていない。つまり新綱領を発表すると言ったのは選挙前のウソだった。
このことからわかるように、民進党は国民党の傀儡政党だが、今でも台湾
人民を代表する政党であると民衆を騙している。だから国民党に対抗した
選挙で民進党が勝つことはない。しかも五都選挙、立法委員、総統の選
挙などなどに勝ったとしても中華民国政権の延長であり、中華民国体制
から離脱する意思はない。
民進党は中華民国が流亡政権であるとさえ言わず、「全民選挙が行われ
るから台湾は民主主義国家で、中華民国は合法化された」と強弁する。
中華民国が合法化された事実はないし、流亡政権が勝手に合法化する
ことは国際的に承認できない。イランでも全民選挙があるが、誰もイランが
民主国家と言わない。
●意味のない選挙スローガン
どの国の選挙でもマニフェストと呼ぶ政策綱領を発表して選挙民に示す。
政治家は国民に対し抱負や政策を示し、選民はそれに基いて投票する。
ところが民進党の選挙は意味のないスローガンしかない。これでは負ける
のが当たり前である。
例えば二年前の総統選挙に立候補した謝長廷は「逆転勝」と言うスロー
ガンを使った。負けそうだから逆転勝と言うだけのことで、総統に当選した
あとのマニフェストがなかった。
今回の五都選挙で民進党が出したスローガンは「幸福、光栄」で、まった
く意味がない。こんな意味のないスローガンで人民が民進党に投票する
のは台湾の民衆が中国人政権を毛嫌いしているからである。民進党は台
湾人の政党を標榜しながら台湾人の期待に答えられない。つまり傀儡政
党だから意味のないスローガンしか使はない、国民党を批判できない。
台湾の政情は急速に悪化しているのに、民進党はそれを指摘できない。
馬英九の急速な中国接近、中国学生の受け入れ、花卉博覧会の集団汚
職など、対立候補を攻撃する資料はいくらでもあった。
民衆が期待しているのは国民党の無能、汚職官僚の跋扈を根本から改
造する候補者だが、民進党候補は重要な資料を使わず、ゲームじみた
勝負、幸福と光栄しか言えなかった。民衆が失望するのは当然だ。
ある人はこれを「穏和路線」と説明したが、堕落した国民党官僚の悪辣な
搾取、政治の悪化を言わず、民進党の国家改造を言わない。言えないの
が事実だろう。
●藍緑選民と中間選民
選挙で意味のないスローガンを使うのは愚かである。中国の台湾併呑の
危機感に満ちている台湾では、選民の投票は統一・独立の選択である。
藍色、緑色の選択であり、中間色は意味がない。
それでも選挙になるとメディアが勝手に「中間選民が重要」と宣伝して、藍
緑双方が中間選民獲得に懸命になる。毎回の選挙で中間選民が重要視
されるというが国民党は統一路線を歩む。民進党は独立建国をマニフェ
ストに入れることが出来ない。選挙の中間路線とは、外交の友愛の海のよ
うに愚劣である。
有名な評論家の金恒偉(火へんに韋)が喝破したように、台湾には中間
選民など存在しない。中間選民とはどちらに投票するかを明確に言わな
い(つまり特務に対する恐怖心が残っている)民衆で、心の中では統一、
独立の選択は明確である。民進党が中間選民に無駄な気遣いをしてい
るため、建国意識のある民衆は民進党を支持しない。
●選挙は必ず負けるイカサマ博打
選挙があるから台湾は民主国家である、と宣伝する者、それを信じる者は
イカサマ博打のような選挙に加担しているのである。人民に選挙が出来る
から民主国家であると思い込ませるのは、国民党が流亡政権を維持する
手段である。
その証拠に民進党は選挙に勝てない。台湾人が80%を占める台湾で、
民進党の得票率は50%を越えない。選挙に負けると民進党は得票数が
増えた、「雖敗猶榮である」、負けても少し進歩したと負け惜しみを言い、
勝った方の国民党は「痛切に検討する」と謙遜したふりをする。
つまり負けた方に対して、今回は残念だったがこの次は勝つといい、勝っ
たほうは僥倖だと謙遜してみせる。これがイカサマ博打の常套手段で、負
けたほうをおだてて次から次へと騙し続ける手段である。
●選挙とは民主主義国家のウソ
台湾は民主主義国家ではない、自由、民主、平等など存在しないのは誰
でも知っている。選挙ができるから民主国家である、投票で人民の意思を
表現できる、民主は存在すると言うのは流亡政権を維持する為で、こんな
ウソを言う台湾人を弾劾しなければ何時までたっても建国できない。選挙
があるから民主でなく、選挙に騙されるから建国出来ない。
国民党は愚かな台湾人政治家に「民主国の偽民主を維持」する責任を
押し付けている。選挙しか出来ない、「制限された自由」を維持する責任
は民進党のほうにあるというのは理不尽な責任転嫁である。
国民党は独裁的だが台湾の民主は台湾人が守らなければならない、民
主を守らなければ台湾は民主国家でなくなる。だから台湾は国家民主国
家であると主張する政治家が責任を負い、国民党は勝手に横暴な独裁
政治をやる。民主を維持する責任は民進党にあるのだ。
国民党の行政、司法、立法が不公平、警察が横暴でも、民主を守る責任
は民進党側にあるという。ワイロ選挙やヤクザの暴力は民進党の責任、国
民党が違法選挙をしても民進党には穏和路線、中間路線を押し付け、一
切の責任を押し付ける。これが民主国家・中華民国の実態である。
今回の選挙で連勝文(連戦の息子)が国民党候補者の集会で狙撃され
た。すると国民党はすぐに狙撃したのは民進党だ、「民主が傷ついた」と
言い張って民進党を譴責したのである。国民党側の選挙集会で、ボディ
ガードのついた政治家が狙撃された責任を民進党のせいにして、台湾の
民主を傷つけたとするのは馬鹿げているが、民進党はこれに反論さえで
きなかった。集会の会場も、周辺を警護する警察も、政治家のボディガー
ドも、みんな国民党ではないか。
2004年に陳水扁が狙撃されたとき、国民党は陳水扁の自作自演として
大々的な調査を一年も続けたのに、今回の狙撃事件は国民党の集会で
起きて民進党が濡れ衣を背負ったのである。
●体制内で建国はできない
民進党が独立建国を捨てたのは人民が現状維持を望んでいるからだと
愚論を述べた男がいる。国民党は数十年も現状維持をやっている、いま
さら民進党も現状維持ならどの政党も同じだ。民衆が望むから独立建国
をしないと言うのは真っ赤なウソ、台湾人が民進党に献金し政党に参加
するのは国家改造、独立建国に貢献する為である。
人民は現状維持を望むと国民党メディアが報道し、一部の民進党員が主
張しただけのことで、人民は中国の併呑を恐れ、いつの日か建国が出来
るのを期待している。台湾は民主国家ではない。中華民国は流亡政権で
ある。中華民国の制度内で独立建国は出来ない。中華民国の体制内で
台湾人の政権はとれない。民進党は建国路線に戻らなければならない。
体制内で中華民国を台湾国に改名するのは不可能である。体制内で建
国が出来るように言いふらす者が建国の阻害である。人民は「選挙が出
来るから台湾は民主国家である」のウソから覚醒し、偽民主主義者を摘発
し排除しなければならない。