【誤報か事実か】蓮舫報道で浮かび上がった政府の台湾

【誤報か事実か】蓮舫報道で浮かび上がった政府の台湾

ブログ「台湾は日本の生命線」より。ブログでは関連写真も↓
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民進党(日本)の蓮舫代表代行が日本国籍と台湾(中華民国)籍の「二重国籍」と指摘された問題に関し、時事通信は九月七日、こう解説した。

―――日本政府の見解では、日本は台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される。中国の国籍法では「外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う」と定めており、この見解に基づけば、二重国籍の問題は生じない。

次いで朝日新聞も翌八日、次のように報じた。

―――日本政府は台湾と国交がないため、日本国内で台湾籍を持つ人には、中国の法律が適用されるとの立場をとる。中国の国籍法は「外国に定住している中国人で、自己の意思で外国籍を取得した者は、中国籍を自動的に失う」などと規定。中国法に基づけば、蓮舫氏が日本国籍を取得した85年の時点で、中国籍を喪失したという解釈が成り立つ余地がある。

要するに政府は、「台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される」との見解、立場だというわけだ。

そのような馬鹿な話があるだろうか。そもそも政府は台湾を中華人民共和国の領土であるとは認めておらず、これは誤報に違いない。

そう思った私は九日、その真偽を確認すべく法務省に電話した。

そして応対に出た民事第一課の職員に政府の立場を聞いたところ、次のような回答が。

すると職員曰く、「台湾を中国とまったく同じ扱いにしている訳ではない」「中国は台湾人にも中国の法律は適用されると判断するだろうが、それはあの国の判断」と。

したがってこれらの報道には舌足らずの感があると言っていた。

要するに婉曲に否定したように受け取れたのだが、しかし誤っているとも言わなかった。

そしてこう述べたのだ。

「政府は台湾を国と認めておらず、日本に居住する台湾籍の人々は無国籍となってしまうため、中国籍という扱いにしている」

そこで聞いて見た。「政府は台湾籍を中国籍と看做すということか」と。

「看做す」とは「そうでない物をそうだと見る」の意。これに対して職員は「それはわからない」と。答えに窮した感じだった。きっと政治的に敏感な事柄なのだろう。

また職員は「政府は台湾を中国の一地域とする立場」だとも言っていた。

だがそれは誤りだ。

私は「政府は台湾が中国の領土の一部とする中国の立場を理解し尊重するとしただけで、中国領と認めた訳ではない」と反論すると、職員はそのこと自体は理解したようなのだが、しかし次のようにも強調したのである。

「領土の話、人の話、国籍の話など、場面場面で台湾の扱いは変わってくる」と。

そんな好い加減なことがあって好いのか、と感じた私は、「それは政府全体の話ではないだろう。法務省だけがやっていることではないか」と聞くと、「そんなことはない」と言うのである。

たしかに法務省だけではない。文科省も教科書検定で教科書発行者に台湾を中国領土として記載するよう指導している。

そこで「政府全体」の実態を知るべく、今度は外務省中国課に電話を入れてみた。

そこではまず「政府は台湾を中国の一地域とする立場」だとする法務省の立場が誤りであることを確認した。

そして法務省以外でも「場面場面で台湾の扱いは変る」という事例の有無を聞いたところ、「厚労省が『資格』に関して台湾人を中国籍にしていると聞いたことがある。もっとも元は法務省(の国籍の扱い方が原因)だが」とのことだった。

実は私は二〇〇一年以降の数年間、当時存在した法務省の外国人登録が、台湾人を中国籍としていた問題で、同省と議論を重ねたことがある。

当時同省入管の職員は「中国出身者の『中国』は中華人民共和国を指すが、台湾出身者の『中国』は『広い意味の中国』を指す」などと説明していた(産経新聞の取材にもそう答えていた)。

それで外務省に聞いたものだ。「広い意味の中国」とはどこにあるのかと。もちろん答えは、「そのようなものはない」だった。

法務省がいかにデタラメを言っているかがわかるだろう。しかしこうした虚偽に基づく行政を容認、放置しているのが政府なのである。

言い方を変えれば、政府は「台湾は中国の領土の一部」という中国の宣伝を受け入れてしまっているのである。正式にはそう承認していないけれども、しかし「場面場面によって」、でき得る限り「中国の一部」として扱おうとしているのだ。

中国の対日外交工作の最重要課題の一つが日本に「一つの中国」原則の受け入れさせること。そんな中国の圧力の前で「一つの中国・一つの台湾」という現実をはっきり口に言いだせないでいるのが政府の現状なのである。

そのように考えると、時事、朝日の記事は必ずしも誤報とは言えないかもしれない。つまり政府は国籍の表記だけにとどまらず、本気で在日台湾人を中国国民として処遇したがっているのではないかと疑ってしまうのだ。

今年に入り、、ケニア、マレーシア、カンボジアは国内で逮捕した台湾人容疑者を中国国民扱いにして中国の引き渡しているが、こうした中国への配慮のためなら良識も捨て去るといった心理状態が、日本政府には皆無かということなのだ。

誤報なのかどうか。すでにそのあたりを時事、朝日に対して確認中である。


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