中天テレビの報道チャンネル、放送再免許認められず/台湾
(台北中央社)電信、通信、放送事業を監督する「国家通信伝播委員会(NCC)」は18日、中天テレビの報道チャンネルに対し、放送再免許の交付を認めない判断を下した。NCCが報道専門チャンネルの再免許を認めなかったのは初めて。中天側はフェイスブックページで、「台湾で戒厳令が解除されて以降、報道や言論の自由が最も暗黒な一日となった」「政治的な裁きだ」などと反発している。
中国寄りとされる旺旺中時メディアグループ(旺中集団)傘下にある中天。台湾の放送免許は6年で切れ、同チャンネルの期限は来月11日に迫っている。ただ、これまでNCCから複数回処罰を受けており、2018年の高雄市長選の際には、対中融和路線を打ち出す韓国瑜候補(野党・国民党)に関する内容が9割を超えていたことなどが指摘されており、審査に当たって先月末には異例となる公聴会が開かれていた。
NCCの陳耀祥・主任委員は18日、会見を開き、委員7人による全会一致で下された決定だと説明。いかなる政治的な力も介入していないと強調した。再免許を認めない理由については、中天の違法を示す証拠は非常にはっきりしているなどと説明した。視聴者からのクレームが近年、激増していることや内部統制が取れていないことも挙げた。
過去に再免許を認められなかった事業者が不服を申し立て、行政院(内閣)の委員会から処分を取り消され、最終的には再免許が下りた例もある。この可能性について、陳主任委員は「準備を進める」と答えた。
行政院は、NCCの決定を尊重するとの立場を示した。一方、国民党は「台湾の報道の自由が大きく後退した」と声明で指摘。「固定観念にとらわれた偏ったやり方だ」とNCCを批判した。
国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(RSF)は、再免許が認められないことで同チャンネルの従業員に影響が及ぶのは遺憾だとしつつ、NCCの決定自体は報道の自由の侵害に当たらないとの立場を示した。「報道の自由とは全く管理しないことではない」とし、メディアの所有者の利益に合致する内容を拡散させることは不適切だとの考えを示した。
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