<日・中・台・韓>の歴史の差異を巨視的にとらえる
世界に発信するため英訳を開始!
「この本は私の歴史書の集大成です」と著者自ら語るとおりの本である。
次のような構成になっている。
序章
第1章:歴史とは何か
第2章:中華文明の原理
第3章:中国の残虐な戦争の歴史
第4章:人を殺さないで発展した日本の歴史
第5章:日本を平和の中で発展させたのは天皇の存在だ
第6章:中華文明から仕掛けられた歴史戦に日本が負けない方法
第7章:対談 この書を振り返って 黄文雄 vs 杉原誠四郎
戦後日本の歴史教育は、ロシアからの「社会革命」を目指す「コミンテルン史観」やアメリカからのいわゆる「東京裁判史観」が濃い影を落とした。さらに80年代に入ってからは「中華史観」の影響が強い。これに対し著者は中華民国の伝統的教育をうけたので、「コミンテルン史観」にも「東京裁判史観」にも洗脳されなかった。中華史観で育てられたものの戦後台湾の中華民国体制は台湾人からすれば外来の「華僑王国」とみなされいる。台湾人と中国人はアイデンティーだけでなく、あらゆる面でむしろ対立関係にあるので歴史意識としてはむしろアンチ中華史観が潜んでいるという。
このような環境下で黄文雄氏のユニークな歴史観が形成されたことがわかる。
随所にユニークな観点が出てくるが、「武士道とは何か」のところの「武士道は平和でなければ生まれてこない」という逆説もその最たるものである。「武士によって平和がもたらされると、日本ではその良い方向でのスパイラルが働き、平和な社会の中で武士道が一層強化されるのだ。…武士は実際には強くても優しくなければならない。殺すことができるゆえに意味のない殺人はしてはならない。むしろ平和を維持し、武士は平和を守るための存在だということになる。」
「史実を世界に発信する会」 茂木弘道