2018.2.27 産経新聞
中国の習近平政権が、国家主席の任期を2期10年とする憲法の規定を取り払う案を示した。3月の全国人民代表大会での採択が確実視される。
権限の強化では飽きたらず、任期制限まで取り払う。ただでさえ共産党の一党独裁下にある中国で、トップに一段と権力が集中し、歯止めがかからなくなりかねない。
独裁政権の長期化による、国内外への悪影響を懸念する。
14年ぶりとなる改憲案では、既に「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を、国家の指導理念として憲法前文に明記する方針が示されている。
これに加え、政権を続ける時間的な制約までなくすものだ。
昨年10月の第19回党大会で、習氏は社会主義現代化を掲げて「2035年」という長期の日程を提示した。党政治局常務委員の人事では、後継者となるべき50歳代の起用が見送られた。
いずれも習氏自身の長期政権に向けた布石だったと受け取れる。権力を強化し、その長期化を図る姿は露骨にもみえる。
国家主席の職務が任期付きで憲法に明記されているのは、毛沢東時代を総括した結果だ。個人独裁の横行を抑え、集団指導体制を確立する。その一翼を担ったルールである。
習氏が政権の長期化をめざす背景には、高度成長期を終えた中国経済を党の指導で立て直す意識もあるようだ。だが、実際に進めてきたのは外資を含む企業活動への露骨な政治介入である。
市場原理とはほど遠い経済運営を強めるなら、世界経済の発展を阻害しよう。
海外を見渡すと、カンボジアなど中国と関係の緊密な国で、独裁政権の長期化が広がる傾向がみられる。中国的な独裁政治の拡散は、毛沢東時代の「革命の輸出」の再来とならないだろうか。
日中間では、平和友好条約締結40年を迎えて首脳往来の実現に向けて交流が進む。権力を掌握した習氏が、強硬な外交姿勢を修正するとの見方もあるが、楽観的にすぎるのではないか。
民主主義や法の支配といった普遍的な価値観を共有しようとしないのが、中国である。
独裁政権が長期化すれば、その傾向に一段と拍車がかかりかねない。そのことを銘記したうえで向き合わねばならない。
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