【産経主張】台湾総統の会見 政府は安保対話に着手を

【産経主張】台湾総統の会見 政府は安保対話に着手を

2019.3.5 産経新聞

 台湾の蔡英文総統が産経新聞との単独会見で、中国の脅威を念頭に、安全保障やサイバー攻撃の問題について日本政府と対話を行いたい考えを表明した。

 蔡氏が外交関係のない日本との直接対話を望んだのは初めてだ。自由と民主主義の価値を共有する日本は、投げかけられたボールを受け止め、安全保障対話などに乗り出すべきだ。

 蔡氏の発言は、経済力と軍事力を急速に拡大させた中国からの統一圧力に危機感を募らせていることや、「米中新冷戦」の新情勢が背景にある。中国の習近平国家主席は1月、「一国二制度」を受け入れるよう台湾に迫り、外部の干渉や台湾独立の動きに武力行使を辞さないと威嚇した。

 日本にとっても、覇権を追求する中国にどう対応するかの問題は、新たな厳しい局面に入っている。平和を守るため、台湾との対話は非常に有意義といえる。

 蔡氏が語ったように、「台湾は地政学上、中国が太平洋に出入りする要衝」であり、「台湾の安全は世界にとって重要」だ。

 中国は尖閣諸島(沖縄県)を狙っている。日本の主要な海上交通路(シーレーン)は台湾近海を通っている。中国の海空軍が台湾の基地を使用するようになれば、沖縄をはじめとする日本列島への軍事的圧力は格段に増大する。

 蔡氏が「台湾と日本は同じ脅威に直面している」と語ったのは頷(うなず)ける。「安全保障協力の対話のレベルを上げることが非常に重要だ」との呼びかけには、応える価値がある。

 その際、日米台による対話も欠かせない。トランプ米政権は台湾との関係を強めている。昨年には高官らの相互訪問を可能にする台湾旅行法や、台湾への武器売却を促すアジア再保証イニシアチブ法を成立させた。米艦船が台湾海峡を頻繁に航行するのは台湾を防衛する米国の決意を示している。

 サイバー対話も重要だ。ネット上の偽情報拡散など選挙や世論へのサイバー攻撃は民主主義にとっての脅威である。

 台湾が意欲を示す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入も日本は後押しすべきだ。

 日台に外交関係はないが安全保障などの対話まで禁じられているわけではあるまい。東アジアの安定のため、日台、日米台は協力できることがあるはずだ。


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