【産経・台湾有情】台湾人の礼節
2013.9.6 産経新聞
今年上半期に中国から台湾を訪れた旅行者数は約142万人。前年同期比約12%増で、秋以降も台湾の観光地は「大陸なまり」でにぎわいそうだ。
こうした折、中国のある民間教育機関創設者が、自身のブログで中国と台湾を比べ、「似て非なる部分」として、中国では文化大革命で失われてしまった伝統的な「仁義礼智」などが台湾には残っている、と指摘し話題を呼んだ。
台湾を訪れた中国人観光客が台湾人の礼儀正しさや公共の場でのマナーの良さに驚くのは、台湾では繁体字に象徴されるように伝統文化教育を重視しているためだ、というのだ。
この説に対し、北京大学で学んでいる台湾の有名作家の息子が中国紙、環球時報のインタビューで次のように一蹴し、再び話題となった。
「中国の伝統文化を守っているからではなく、日本統治時代の影響だ」
その日本から台湾を訪れた旅行者数は今年上半期で66万人にすぎなかったが、台湾から日本への旅行者は111万人に達し前年同期比52%増となった。
さて、1日には台南で戦前、世界有数のダム建設を指揮した日本人技師の夫人の銅像除幕式があった。日台の有志らによる建立だ。少々旅費はかさむが、日本人が訪ねる意義は小さくないように思う。(吉村剛史)