【李登輝元総統】「李明哲氏支援の声明」

【李登輝元総統】「李明哲氏支援の声明」

 日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

李登輝元総統が中国で身柄拘束の李明哲氏の夫人らと面会「李明哲氏支援の声明」を発表

【本会ホームページ「お知らせ」:2017年6月15日】
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20170615/

 中国で身柄を拘束されている台湾の人権活動家、李明哲氏の夫人や人権団体が6月14日午後、李
登輝元総統をご自宅に訪問し、支援を求めた。

 李明哲氏の妻である李浄瑜氏は、台湾関懐中国人権聯盟の楊憲宏理事長らとともに李元総統を訪
問。楊理事長によると、面会は2時間以上におよび、李元総統は「李明哲氏は台湾の国民だ。政府
には責任がある。ただ『関心を寄せている』と言うばかりではいけない。中国はやっぱり『土匪』
だ」などと述べた。

 楊理事長らは、すでに米国政府の支援も取り付けていると報告したが、李総統は「米国に支援を
求めるのもいい。しかし、台湾国民の救出を外国に委ねるというのもまた本末転倒だ。本来であれ
ば、台湾政府がもっと積極的に救出に動くべきだ。最大の責任を負っているのは台湾政府だ」など
と話した。

 さらに、1994年に中国で発生した千島湖事件(杭州の千島湖で、遊覧船が強盗に襲われ、台湾か
らの観光客が殺害され放火された事件)に言及し、「中国はやっぱり土匪(どひ)だ」などと批判
したという。

◆「李明哲氏支援の声明」

 李登輝元総統はその翌6月15日、「李明哲氏支援の声明」を発表、声明は李元総統のFacebookで
公開された。

              ◇     ◇     ◇

 わが国の国民たる李明哲氏が、確固たる理由もなく中国政府によって拘束されてから今日で88日
が経過した。この間、救出に向けて台湾政府や関係者の努力が続けられているが、中国政府はいま
だに釈放しないだけでなく、家族による面会の要求などにも応えておらず、このままでは中国は国
家としての体面に傷をつけることになるだろう。

 昨日(6月14日)、私は李明哲氏の夫人である、李浄瑜さんと面会した。夫の李明哲氏が拘束さ
れてからというもの、夫人が救出のためにいかなる努力を払ってきたかを縷々聞くにつけ、私はい
たたまれない気持ちになった。ご家族の皆さんがどうか希望を捨てないことを祈ると同時に、私は
ここに3つの意見を表明したい。願わくば、国内外の関係者が力を合わせ、台湾の国民が救出され
ることを切に願うものである。

1、中国政府が正当な理由なく李明哲氏を拘束していることは、もはや国際社会における深刻な人
 権問題となっている。仮に李明哲氏が中国の法律に違反する行為を行ったのであれば、関連する
 法律および訴訟によって裁かれるべきであり、家族による面会の権利とともに、公平かつ公開の
 裁判を受ける権利を有するものである。中国政府は、基本的人権の尊重をゆめゆめ忘れるべきで
 はなく、関連する部署は、すみやかに明確な説明をするとともに、台湾政府や家族に対して報告
 するべきである。

2、中国政府は両岸の国民の交流を妨げるべきではない。60年以上にわたり、中華民国および中華
 人民共和国の両国政府は、時として異なる価値観や理念を有したり、摩擦を生じたことはあった
 ものの、両岸の人的交流は影響を受けることなく今日までお互いに相当程度の理解を深めてきた。

  しかしながら、今般の李明哲氏の理由なき拘束は、長期にわたって民間で育まれてきた良好な
 関係を引き裂くものである。私は中国政府に対し、これ以上、両岸関係を毀損する行為を止める
 とともに、一時的な政治的要因によって民間の交流活動を萎縮させ、破壊する行為を慎むよう求
 める。

  中国政府は、理性的態度を取り、なおかつ効率性を考慮するべきであり、むやみに摩擦を生む
 べきではない。速やかに過ちを認め、李明哲氏を解放して台湾に帰国させるべきである。それこ
 そが、国際社会における中国の体面を取り戻すものであり、なおかつ両岸の民間交流の良好な基
 盤となるものである。

3、台湾政府および全国民は、支持する政党やエスニック・グループ、政治的立場に関係なく、よ
 り多くの関心を寄せるべきである。李明哲氏への声援を結集することは、台湾政府やご家族を応
 援することとなり、全国民が同胞に関心を寄せることの表明になる。

  李明哲氏が中国で拘束されて以降、台湾政府が鋭意努力を続けてきたことに私は敬意を表す
 る。同時に、ご家族が味わってきた苦悩はいかばかりかと想像する。台湾社会の人々がそれぞれ
 の立場から、あらゆる手段で救出のための努力を続けられることを願う。同時に、関係する部署
 は救援のための努力を続けるとともに、ご家族への十分なケアが提供されることを願う。台湾の
 全国民が心をひとつにすることが、一日も早い李明哲氏の帰国につながるだろう。

 李登輝 20170615

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