本日5日にTBS系列で放送された「報道特集」で台湾の学生運動がとりあげられた。
30日の大規模デモの人数について、疑惑が指摘されている警察側の数字のみを使って説明している点は大きな問題である。
また台湾が中国と協定を結んだことによって、日本から台湾への投資が増えているような見方が紹介されているが、因果関係があるのか不明瞭である。
また中国からの観光客の声を伝えた。その中でも、「台湾はわたしたちの島」という中国政府の宣伝が代弁された。その観光客らに対する台湾の人々の声はまったく伝えられなかった。この問題を扱うことは避けたのであろう。
一方、学生たちの声や現場の状況を詳しく伝え、また、中国ビジネスの危険性などについても被害者の声を伝えたなどの点は評価できる。
またデモの翌日に同じ場所を歩いた感想として「中国とは違う」という感想が伝えられたことも評価できる。
番組内で十分に捉えられていなかったのは、台湾における、軍中リンチ事件へのデモなど一連の「市民運動」との連続性である。今回の台湾取材の画像の中にもそのヒントはあった。軍中リンチ事件への抗議で使われた「目」のプラカードを持参している人が画像に映っていた。つまり、度重なる人権軽視・民主主義への軽視について、台湾社会が馬英九国民党政権に対して不信任を突きつけているのだ。この協定を撤回した場合に誰が困るかといえば、それは馬英九政権である。
日本のメディアとしてはTPPと結び付けたいようで、スタジオの議論はそちらに移っていった。台湾の場合は法治国家ではなく、さらに台湾を併呑しようとしている中国と協定を結ぼうとしている点が、大きく違っている。
多田恵
2014.4.5 19:00