【台湾高校生】日本的未来一定会更好

【台湾高校生】日本的未来一定会更好(さらに美しき日本を思い描いてー新民高校生の寄せ書きより)

許世楷 (前台湾駐日代表)

今でもよく東日本大震災関連のニュースが流れています。何回見ても、いつ見ても、涙が出ないときがないほど、悲惨な状況が画面に出てきますが、同時に、あー、なんと力強く立ち上がろうとしているのだろうと、心打たれます。涙をこらえようとしながら、こらえきれず、それでも最後まで答辞を述べきった気仙沼階上中学の卒業生代表。日本人は大人だけでなく、十五歳の中学生までが、「苦境にあっても、天を恨まず、運命にたえ、助け合って生きていくことが、わたし達の使命です」と述べることができたのは、世界中の人々に感動を呼び起こしたに違いありません。隣国に住む台湾の同じ年頃の学生たちは、そのような姿を見て、「日本の友と共に苦難を」と強く願い、同時に多くを学んでいます。

台中市の名所宝覚寺の真向かいにある、新民高校日本語学科の学生が呼びかけ、書いた寄せ書きの一部です。
―地震、津波、原子炉、予測できなかった災害が起こった今、わたしは、人類がお互いをもっと大事にし、励ましあい、支援しあうことの大切さを感じています。
―心が痛くて、悲しくて涙がとまりません。わたし達は皆様の心を暖めますから、寒い中、決してあきらめずにがんばってください。
―ずーとそばに居てあげたい、心の傷が癒されるまで。もっと大きな被害にならないように、お祈りしています。日本的未来一定会更好。
―ニュースを見ると、心が痛みます。涙がこぼれます。同時にあなた方を尊敬してしまいます。このような天災に会いながらも、規律正しく、天を恨まず、しなくてはいけないことを整然と行っているのをみると、わたし達も見習わなくてはという気持ちが沸き起こってくるのです。
―「日本人!」この民族は団結の代表選手です。
―わたしも愛する人を失ったことがあるから、あなたたちの痛みが分かります。絶対にいのちを粗末にしないで生きてください。

新民高校の赤十字社青少年奉仕グループは、学内募金で集めた五十万元(150万円)、学校理事会の寄付金百万元(300万円)と一緒に、寄せ書きを赤十字社台中支部へ届けました。一時間のアルバイト料、お弁当が二つ買える百元を入れてくれた友人たちに「ありがとう」を間断なく言い続けたと、学生が話してくれました。

大度山台地にある静宜大学では、日本人留学生の呼びかけに日本語学科が応え、ある先生のことばですが、「歩いたり、走ったりして募金を行っていました」。この居ても立ってもいられない気持ちが、大学全体を動かしたのでしょう、「祈福会」を始め、「祈福壁」が作られ、祈りのことばを書き込んでもらっていました。

台湾キリスト教会国連加盟推進協会の羅栄光牧師は、「日本の苦難を分かち合おう」と呼びかけています。1999年9月21日に起こった台湾大震災のとき、赤い制服の日本救助隊が余震の続く東勢地方の倒壊した王朝ビルから、閉じ込められていた罹災者を担架で担ぎ出したのを目撃し、涙がとまらなかったと「呼びかけ文」に書いていました。そう、あの時、いち早く台湾に救援隊、救助機械、医療隊、救援金を送り込んでくれた隣国日本の真摯な友情を思い出した人は多かったでしょう。

わたし達が前駐日代表だったと言うことで、大勢の人から「日本は大丈夫ですか?」「発電機が二百台集まりましたが、どこへ送れば良いでしょう?」などの電話がかかって来ました。駐台日本交流協会の電話はパンク状態だったと聞きました。今、台湾人は手を合わせ、日本の復興を祈り、限りない連帯の思いを寄せていることをお伝えします。

世界台湾人大会にスピーカーとしてこられた桜井よしこ先生は、三月二十日、冒頭演説を終えられた後、中、南部観光を取りやめ、「人類が経験したことのない三つの苦難に直面している日本」へもどっていきました。「日本国は必ず立派に立ち上がると確信しています。、、、日本人は文字通りこの未曾有の試練を立派に乗り越えなければなりません。わたしはその国家再建の先頭に立つつもりです」ということばを残して。


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