【台湾水害】600人が生き埋めの可能性
産経新聞2009年8月11日
【台北=山本勲】台風8号が台湾に「50年ぶり」と言われる大きな被害をもたらしている。嘉義県など南部3県を中心に史上最大の降水量を記録。10日午後4時(日本時間同5時)現在の政府当局発表によると、死者15人、行方不明者55人に及んでいる。地元メディアは山村部で数百人が生き埋めになっている可能性を報じており、犠牲者はさらに増える可能性がある。中央気象局が今回の台風を過小評価したことや中央と地方の連携不足など政府の対応のまずさに、多くの批判が聞かれる。
7日夜に台湾本島に上陸した台風8号は、9日になってようやく台湾海峡に抜けた。当局発表によると、6日零時から10日午後2時までの降水量は、嘉義県阿里山で2935ミリを記録するなど、南部3県(嘉義、屏東、高雄)で2500ミリを上回った。わずか4日間で台湾の年間降水量(2510ミリ)が降った形だ。
洪水による避難者は約1万人にのぼる。山間部では土砂崩れ、平地では洪水による橋梁断裂(20件)や堤防損壊(21件)などの被害が続出している。農業損害は約50億元(約150億円)と推定されている。
10日付の「聯合晩報」は、高雄県山間部の甲仙郷という小村で、約600人が生き埋め状態にある可能性を報じている。他の村でも同様の事態が懸念されており、これから犠牲者や行方不明者が大幅に増える懸念もある。
台湾では1959年8月の水害で667人の犠牲者を出したが、今回はそれ以来の大災害と地元メディアは報じている。