台湾の声
来年1月14日に投票が実施される台湾の総統(大統領)と立法委員(国会議員)のダブル選挙の立候補が11月25日に締め切られ、候補者が出そろった。
総統選挙については、現職の中国国民党の馬英九総統に対し、民主進歩党(民進党)の蔡英文主席(党首)と、親民党の宋楚瑜主席が挑戦する。実質上は国民党の馬氏と民進党の蔡氏の一騎打ちとみられているが、馬氏と蔡氏は接戦であり、宋氏が勝負を分ける数パーセントを左右することから、宋氏の動きも今後注目される。宋氏は最終的な中国統一(中華民国による統一)を支持すると明言して中国派色を鮮明にし、「不統、不独」の馬氏と、台湾はすでに独立国家と主張する蔡氏を批判し、存在感を高めようとしている。
立法委員選挙は定数113議席で、そのうち小選挙区が73議席、原住民選挙区が6議席、比例代表が34議席。4年前の立法委員選挙では、親民党候補を国民党から出馬させる選挙協力で小選挙区を有利に戦った国民党が、選挙区(小選挙区+原住民区)で61議席、比例で51.2%の20議席、合計81議席を獲得して圧勝した。当時与党だった民進党は選挙区で13議席しかとれず小選挙区制の恐怖を味わったほか、比例の36.9%の14議席を合わせても合計27議席しか得られず惨敗した。また、それまで10数議席あった台湾団結連盟(台連)は小政党に不利な小選挙区制で埋没してしまい、議席をすべて失った。
今回、与党の国民党は前回より獲得議席が減るのは避けられないと苦戦を認め、60議席を目標としている。野党については、民進党と台連の選挙協力が進み、台連は小選挙区では民進党の候補者を支援し、比例のみ候補者を立てて5%以上の得票率(2人以上の当選)を目指す。民進党は50議席は固めたとして、過半数の57議席を目指す。親民党は宋楚瑜氏が総統選挙に出馬したことで第3軸として存在感が高まっており、党としての目標議席を発表していないが、比例で3議席以上プラス選挙区での当選を目指す。前回小選挙区で圧勝した国民党は、今回小選挙区で親民党が18人候補者を立てたことから、親民党に票が流れると国民党が不利になり、民進党が漁夫の利を得る可能性が高まる。