2014.9.30産経新聞
【編集長の一言】文中にある「中国の習近平国家主席は最近、台湾野党党首らとの会見で、、、」の所謂「台湾野党党首ら」とはミニ政党の急進統一派の「新党」党首郁慕明と「新同盟会」の党首許歴農らなのだ。
尚、台湾では政党は245にも上り、国会に議席のある野党は民進党、台連と親民党だけで、それ以外は中国の工作で作られた親中国派ミニ政党ばかりである。
産経新聞の「野党党首ら」との表現は間違っていないが、台湾の実情に知らない日本人なら誤解を与えやすい書き方だ。彼らのことを「急進統一派政治団体」と表現した方がもっと事実に近いだろう。
「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
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香港の民主化後退に民主派団体や学生らが抗議行動を続けている問題は、中心部での座り込みを警官隊が催涙弾を使って排除に乗り出し、緊迫した状況となった。
中国は、2017年に予定される香港特別行政区の次期行政長官選びで直接選挙(普通選挙)の導入を認める一方、親中派から成る指名委員会で候補を事前選考し、民主派を事実上、排除する仕組みを決定した。
名ばかりの普通選挙に抗議運動が起きるのは当然である。
中国は1997年に香港が英国から返還される際に、「一国二制度」下での「高度な自治」を保証した。香港トップの候補者の恣意(しい)的な選抜は「国際公約」違反であり、撤回すべきである。
抗議行動は、中心部の金融街、「セントラル(中環)」の占拠を目指して26日に始まった。民主派は近隣の幹線道路や繁華街に陣取り、デモ継続を宣言している。
梁振英行政長官は「街頭占拠は違法行為だ」とし、より強硬な措置も辞さない構えだ。
すでに民主派と警官隊の衝突で多数の負傷者が発生し、拘束された者も少なくない。
民主派や学生らの平和的なデモをさらに暴力的な手段で鎮圧すれば、流血の事態となる。絶対に避けなければならない。香港当局に求められているのは、真の普通選挙に向けた対話である。
週明けの香港株価は急落するなど経済への影響も目立ち始めた。市場では、デモが拡大し長期化すれば、金融センターの機能に支障が出るとの見方も出ている。
香港は英国譲りの、アジアで最も成熟した金融センターだ。それは自由で規範重視の社会に下支えされている。約束が反故(ほご)にされて民主化が後戻りすれば、香港の信用も価値も傷つくことを香港、中国当局とも認識してほしい。
中国の習近平国家主席は最近、台湾野党党首らとの会見で、統一には「一国二制度が最も良い」と述べた。香港の現状を見て台湾側が納得するはずがあるまい。
それにしても、「一国二制度」合意の当事国である英国から民主化を強く後押しする声が聞こえず、動きも見えないのはどうしたことか。
英国に限らず、米国や他の欧州諸国、そして日本も、中国に対して公約の順守を促すべく、強く働きかけてもらいたい。