永山英樹
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衆議院安全保障委員会の委員十名(民主六人、自民二人、公明一人)は八月二十
五日、尖閣諸島の上空視察を行い、その後与那国入りした。
与那国空港で奥田建委員長は「今回の視察の一番の目的は尖閣諸島の視察であり
、移り変わっていく状況をこの目で確かめたかった。最西端の与那国については
日本の領土、領海、領空を守っていただいている皆さんの生活を見て、足りない
ものを意見としていただき、お役に立てればと思っている」と述べた。
一向は二十六日、与那国町役場で外間守吉町長、崎原孫吉町議会議長と面談。外
間町長から陸上自衛隊の早期配備と、尖閣諸島周辺海域に遊漁船が行けるような
規制の緩和の要請を受けた。
一行からは「国境の警備、防衛力の確立が重要だというスタンスの中で自衛隊誘
致は積極的に後押ししたい」(新藤義孝氏)など、一行からは陸自配備を支持す
る声が相次いだ。
ところが今回の尖閣視察を受け、一々クレームをつけてきたのが台湾外交部(外
務省)だ。
二十七日夜に発表したプレスリリースの内容は次のようなものだ。
「釣魚台列嶼は中華民国固有の領土であり、主権の侵犯は許されない。駐日代表
処はすでに日本側に厳重な関心を伝えた、台湾には釣魚台列嶼に関する主権を擁
しているとの一貫した立場を重ねて述べるとともに、台日友好関係が損なわれな
いよう、似たようなことが二度と行われないよう要求した」
この国の外交部は尖閣問題で日本と揉めるのを嫌っているとも聞く。つまりこの
問題で「台日友好関係が損なわれ」ることを得策とは思っていないわけだ。そも
そも尖閣諸島が「中華民国固有の領土」であるなどとは本気で思っていないはず
である。
しかしかつて蒋介石の独裁政権時代、そこを「固有の領土」と主張、宣伝し始め
てしまった手前、いまさら後に引けないのだろう。領土問題から手を引くとなれ
ば国内の民族主義の怒りを買うのが世界の常識と思っているのだろう。ことに中
華民族主義は「漢奸」への攻撃が好きで好きでならない。
だが中華民族主義など無縁の台湾人一般はどうだろうか。中国人とは異なり、領
土的野心もなく、反日の政治利用なども考えないこの理知的な民族なら、尖閣領
有権の真実を受け入れることは十分にできるはずだ。
今回のように領有権を主張することは、いたずらに対日関係を傷つけるばかりか
、中国の「日台分断」「台中統一」の戦略を満足させるだけの愚行である。こう
したことをいったいいつまで繰り返すのか。
たしかに領有権の問題には台湾漁民の深刻な漁業権問題も絡んでくるが、それに
しても台湾側が領有権さえ振りかざさなければ、解決の道筋は見えてくることだ
ろう。
もっとも蒋介石勢力の末裔にして、いまや中共の傀儡に成り下がりつつある現政
権に、こうしたことなどは期待できない。だがたとえば野党、メディア、民間な
どから尖閣問題の真相を広める運動を展開し、国民を覚醒すればどうだろうか。
その結果は、台湾にとってはいいこと尽くめである。
偽りの領有権の主張を放棄することで、日台関係が安泰になるばかりか、国際社
会に対し「台湾人は真実を重んじ、領土的野心がない民族であり、中国人とはま
ったく異なっている」とのメッセージを送ることになり、かくて世界から尊敬さ
れることとなるだろう。
要するに台湾は、敵である中国と共同歩調をとり、味方である日本と対立し、や
がては中国に呑み込まれるような過ちを犯すなと言うことだ。
だいたい尖閣防衛などに向けた日本側の動きは、台湾防衛にも直結するものなの
である。