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永山英樹
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国連教育科学文化機関(ユネスコ)は七月三十一日、米国の核爆発実験が行われ
たマーシャル諸島のビキニ環礁を世界文化遺産に登録することを決めた。
米国は四六年から五八年にかけ、同環礁周辺で六十七回の実験を行っている。日
本人が「ビキニ環礁」と聞いて思い出すのは第五福竜丸だろう。五四年の水爆実
験で同船の乗組員二十三人が被爆し、その後十四人が亡くなったことは有名だ。
もちろん度重なる実験で多くの現地住民も被爆している。
ユネスコの世界遺産委員会は「ビキニ環礁は核実験の威力を伝える極めて重要な
証拠」とした上で、「平和な地上の楽園というイメージとは裏腹に、人類が核の
時代に入ったことを象徴している」と、登録の理由を説明する。
同委員会のスイス代表は「ビキニ環礁登録は核時代の終焉に向かう最初の一歩だ
」と話したそうだが、「核実験の威力を伝える極めて重要な証拠」としては、東
トルキスタン(中国新疆ウイグル自治区)の方が、もっと「重要」かも知れない
。
なぜならこちらは中国が六四年から九六年にかけて行った延べ四十六回の実験が
行われ(そのうち米ソも行っていない内陸部でのメガトン級の地表爆発は三回)
、これらにより急死した住民は死者は十九万人に及び、被爆者は百二十九万人に
達して多くが死亡していると推定されている(高田純・札幌医科大学教授の調査
結果)。
また実験期間中にシルクロード観光などで現地に入った日本人は二十七万人(同
)。「第五福竜丸」以上の被爆犠牲者を出している可能性が高い。
しかし中国政府はこうした核災害の実態はおろか、核実験の事実すら隠蔽してい
るのだ。今でも被爆者たちは十分な治療を受けているとも考えられない。
世界遺産委員会が「核時代の終焉」を目指したいのなら、東トルキスタンの核実
験場をも登録するべきである。
そのことによって中国の人命無視の軍拡政策の危険な実態も白日の下にさらされ
ることとなるだろう。また生存する被爆者たちも、国際社会から救援を受けるこ
とになるに違いない。