【レポート】台中で勝って、馬英九政権に引導を!

【レポート】台中で勝って、馬英九政権に引導を!

2014.6.30 02:20 台湾の声編集部 多田恵

29日、民進党の台中市長候補である林佳龍氏の講演会が東京・新宿京王プラザホテルで行われた。200人の席がほぼ満席になり、会場には、金美齢氏や台湾からの留学生たちの姿も見えた。講演が終わると、留学生たちは競って林佳龍氏との写真を撮った。主催は、在日台湾同郷会、在日台湾婦女会、日本台湾医師連合。

林佳龍氏は、野百合学生運動にも関わったが、1998年から99年まで、東京・青山にある国連大学高等研究所に所属して研究を行ったという。会場に入る際に、選挙応援をした金美齢氏を見つけたためか、講演の冒頭に、台湾独立建国聯盟の第一世代のリーダーの名前を複数挙げて敬意を表明した。

台中には2005年から住んで、NGOなどの活動を行うなどしてきた。2010年の選挙では同じ党の蘇嘉全氏に公認候補を譲るという苦渋の決断を行ったが、それでも引き続き台中で活動を続けていた。今回は、満を持しての出馬で、世論調査では、現職よりもはるかに支持を得ているという。

政見については、台中を首都にしたいと語った。まずは、首都としての機能を持つ都市へと発展させたいようだ。台中版山手線構想を持っている。また、台中についての本も何冊か出版しており、『佳龍帯儞遊台中(林佳龍が案内する台中)』は旅行ガイドとして、ベストセラーになったという。

また、民進党政権時代、国安会議(国家安全会議)の委員もつとめ、国家の外交政策にも関わったことがあり、安倍政権が日本を正常化しようとしていることを高く評価した。特に、台湾関係法制定へ向けた検討、そして、最近の国立故宮博物院の件もその例だとした。

中国の張志軍が台湾に来て、各地の地方首長に会談を求めたのは、まるで、上の者が下のものを呼びつけるかのようだ。逆に台湾側の王郁琦はそのようなことはできない、と、馬政権下での中国との非対称的な関係を批判した。

ヒマワリ学生運動については、ECFA協定は相互に利益のあるように規定されているが、中国側が実行していないため、台湾側は利益が無い。協定で弱者が犠牲になるなら、そのような協定は結んではいけない、と語った。中国のプロパガンダは、現実から乖離しているので、それを宣伝すればするほど、台湾の学生たちは「台湾独立」寄りになる、と説明した。

国民党政権は党と国家が一体となっているという問題があり、馬英九氏は「両岸人民関係条例(法律)」に違反している。民主主義では台湾人に決定権があるはずなのに、それを無視しており反動的である、と批判した。

年末の選挙は台中で勝利すれば、台湾を悪い方向へ連れて行こうとする馬英九をレイムダックにすることができる、と、年末の選挙の意義について語った。

民進党の「中華民国」体制への取り組みについては、民進党の国家問題についての重要決議として、党綱領、台湾前途決議文と、もうひとつ、あまり、注目されていないものの、2007年に「正常国家決議文」を出している。林氏は游錫堃氏の下で、これを進めたという。この決議文では、台湾正名と正義の回復という二つの目標のもとで、これまでの新憲法制定、国連など国際組織への参加、台湾の共同意識を立てる、「一中原則」を打破する、という基本原則を達成するというものである。

当日の写真が一部次のリンクから閲覧できる(本誌編集部撮影):
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10202986856926980.1073741862.1070936945&type=1&l=44e1889da5