2009.5.25
台湾の声
今年7月に台湾の高雄市で開催されるワールドゲームズ高雄大会の宣伝のため
陳菊・高雄市長は5月21日から中華人民共和国(中国)を訪問し、24日に台湾に
帰国した。
台湾最大野党・民主進歩党(民進党)の最高幹部クラスである陳市長は、「台
胞証」を提示させる入国手続きを免除されるなどAPEC(アジア太平洋経済協力会
議)方式並みの外交待遇を受け、中国に入国。21日夜に北京市内のホテルで郭金
龍・北京市長と会談した。
この中で、陳市長は、「金融危機が台湾に影響し、“中央政府の我々の馬英九
総統(大統領)”が、台湾経済を改善しなければならないことに、非常に大きな
プレッシャーを感じている」と発言。中国高官の前で「中央政府の馬英九総統」
を強調することで、台湾が中華人民共和国の地方政府ではない独立国家であるこ
とを暗に強調した。
民進党籍の陳市長の訪中には、渡航前に民進党内から自粛を求める声もあった
が、陳市長は「国民党政府の意見だけでなく、幅広い台湾社会の意見を理解して
もらいたい」として訪中し、台湾の中央政府の「総統」を強調してから、民進党
内では台湾が主権国家である事実を中国に向けて表明したとして高く評価された
。
また、与党の中国国民党内からも、王金平・立法院長(国会議長)が「国家の
主体観念が出ている」と高く評価、呉伯雄・国民党主席も「このような呼称はと
ても自然だ」と評価した。
これまで、呉伯雄主席や、江丙坤・海峡交流基金会理事長(台湾の対中窓口)
は、中国の高官相手では馬総統のことを「馬先生」(馬さん)と呼んでおり、中
国側が機嫌を損ねるのを恐れて台湾の国家主権を自ら矮小化していた。
今日(5月25日)から訪中する呉伯雄主席が、中国で馬英九総統のことをどう
呼ぶのかが注目される。