「神」になった零戦パイロット・杉浦茂峰兵曹長

「神」になった零戦パイロット・杉浦茂峰兵曹長 5日から茨城で企画展
【産経新聞:2019年10月4日】
https://www.sankei.com/life/news/191004/lif1910040050-n1.html
写真:台南市で「神」とたたえられている杉浦茂峰兵曹長(筑波海軍航空隊記念館提供)

 先の大戦末期に台湾南部の台南市で戦死し、現地で「神」と呼ばれる水戸市出身の零戦パイロッ
ト、杉浦茂峰兵曹長をテーマにした企画展が5日、茨城県笠間市の筑波海軍航空隊記念館で始まる。

 杉浦氏をまつっている台南市の「鎮安堂飛虎将軍廟(ちんあんどうひこしょうぐんびょう)」に
注目し、その生涯を紹介する。同館の担当者は「杉浦氏が現代まで残した台湾とのつながりを感じ
てほしい」と話している。

 台湾の人々が名づけた「飛虎将軍」という杉浦氏の呼び名は、その死にざまに由来する。

 1944(昭和19)年10月、杉浦氏は、零戦パイロットとして台南市上空で米軍機と交戦中に被弾し
た。集落への墜落を避けるため郊外まで操縦して脱出、落下傘で降下したところで米軍機の機銃掃
射を浴び、20歳の若さで戦死した。

 死が迫る中で住民の命を守ろうとした杉浦氏をたたえ、地元の有志らは71(昭和46)年にほこら
を建て、93(平成5)年に約160平方メートルの廟に建て直した。現在も「守り神」として手厚くま
つられ、旅行者も多く訪れているという。

 企画展では、台湾の廟文化にも触れながら、杉浦氏の生涯や、戦後の台南市と茨城県の交流の歩
みをパネルなどで伝える。杉浦氏について記述した台湾の教科書や、親族の協力を得て杉浦氏の軍
歴をまとめた一覧表なども展示する。

 笠間市は、県内の市町村で初めて「台湾交流事務所」を台北市に設置するなど、台湾との関係強
化に力を入れている。筑波海軍航空隊記念館の担当者は「企画展が、台湾との交流を深めるための
力添えになればうれしい」と期待している。

 来年3月30日まで。料金は大人500円、子供300円。問い合わせは同館(0296・73・5777)。(永
井大輔)


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