“「台北」の読み方を知っていますか”への反響と追記

“「台北」の読み方を知っていますか”への反響と追記

1.読者反響

「台北」の呼称に対する私の長年の疑念を晴らしていただいて有難うございました。

私の台湾人の友人のご両親は昔から日本語で「台北」を「たいほく」と言っていました。
その方は戦後は学校も既に卒業していて北京語の教育を受けていない世代です。

台湾を愛するたいていの日本人が「台北」を「たいぺい」と言うことに私はものすごく違和感を感じていました。そのような人が、「台北」を「たいぱく」という台湾語発音を使うのは無理としても「たいぺい」と言う事は、台湾語や台湾の歴史を正確に理解していないとこと思っていました。

NHKが「たいほく」と発音していたことは知っていましたので大した事と感心していました。

先ごろお亡くなりになられた蔡焜燦先生の故郷の「清水」は「しみず」ではなく「きよみず」ですね。

「豊原」は「とよはら」と思いますが現代の若い人は「ほうげん」と言う人がいます。

このように正しい日本語読みの地名は台湾にはたくさんあると思います。

日本時代に台湾人がその地名をどのように発音されていたかが大事と思います。

また、日本教育を受けてこられた方々が戦後どのように呼んでいたかも重要な点と思います。

戦後台湾を支配する為に中国から台湾に入ってきた国民党がその呼び名を廃止して北京語で呼んだかによって現在の呼称に変ってきたかが解ります。

台湾独立派の方々「仏作って魂入れず」にならないように願います。

私は「たいほく」と呼ぶことに優越感を感じていました。

千葉県 冨澤賢公

2.追記

10月10日の記事“【振り仮名に潜む洗脳工作】「台北」の読み方を知っていますか”を出してから、反響がいくつかありました。その中に、2020年東京五輪「台湾正名」推進協議会の“「チャイニーズタイペイ」ではなく「台湾」の名で台湾選手団を迎えよう!”等のスローガンを問題視するように受け取られる恐れがあるという声をいただきましたので、説明させていただきます。

私は同協議会のスローガンについて100%賛成で、同じ立場です。日差しの強い中での街頭活動にも頭が下がるばかりです。

「チャイニーズ・タイペイ」と「タイペイ」という振り仮名はいずれも、中国側に立つ勢力によって強制されたものです。これを正名しようという志について同協議会の立場と私の立場に違いはありません。

「チャイニーズ・タイペイ」を「台湾」にせよと求めることと、地名に対する振り仮名である「タイペイ」を「たいほく」なりにせよと求めることは、近いことだと考えています。

記事中で指摘したケースは、同協議会の活動に共鳴した台湾の団体が、台湾のどこどこで署名活動を行ったというメッセージの代読の際に起きたものです。台北と高雄が地名として出たのですが、高雄のほうは問題なく「たかお」とお読みでした。

代読した方は私の知り合いであり、その方が日ごろ、台湾をサポートする姿勢は尊敬申し上げています。突然、代読を指名されたようでしたから、準備もなかったかもしれません。緊張されていて、そこまで手が回らなかっただけかもしれません。

実は、地名「台北」の読み方の問題は、台湾研究フォーラムの永山英樹会長も平成23年6月19日のブログ記事で“台北は「タイペイ」ではなく「たいほく」と呼ぼう”と呼びかけています:

私は、永山氏の“日本人はすっかり「タイペイ」だのと刷り込まれてしまっているが、もし「台湾は中国の一部ではない。台湾は台湾人の国だ」との信念を確立すれば、そんな呼び方はやめたくなるはずである”という主張に全く賛同するものです。

私もこれまでに呼びかけたことがあります。しかし、人が話しているときに、いちいち注意するということまではしていません。たまに話して、理解してくれる人に伝わればいいと考えています。

街頭宣伝で、台湾に詳しくない人に「チャイニーズタイペイ」正名を訴えかける際に、「たいほく」だと伝わりにくいと考えて、あえて「タイペイ」と呼ぶという優先順序の判断もあるかもしれません。それでも、自分が言葉を選べる場面では、自らの信念に合った言葉で語っていただきたいと思います。

日本人どころか独立派を自称する若い台湾人までもが日本語で話をする際に「タイペイ」と読んでいるのを耳にすると複雑な気持ちになります。日本人がタイペイと読んでいるから、彼らもそう言う。彼らがそういえば日本人もそう呼ぶ、という循環があります。いろいろな読み方を許容する日本語ならではの問題だと思われます。

なぜこの問題が長引くのか。記事に挙げた「優越感」以外の理由を考えると、日本の多くの方にとって、台湾の複雑な言語問題・アイデンティティーの実相まではなかなか実感できないからなのかもしれません。またNHK以外の民放がほぼすべて「タイペイ」と呼んでいるという大勢に異論をさしはさむということはなかなかできないことなのかもしれません。台湾の方でも、そこまで考えて行動に移している人がまだまだ多くないというのも原因の一つかもしれません。

それでも、このような問題があるということを再度提起するのが私の執筆目的です。2020年東京五輪「台湾正名」推進協議会の集会の中での出来事を引用したのは、ただ、皆さんにもう一度考えていただくためのわかりやすい例として挙げたものです。団体なり個人なりを批判するという意図は毛頭ありません。

社会をリードする運動に関わっている皆様、実際に社会をリードする立場にある皆さんに、台湾の言語と社会を観察してきた私の意図を汲み取っていただければ幸いです。

多田恵

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【振り仮名に潜む洗脳工作】「台北」の読み方を知っていますか
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