【論説】選挙と体制外運動

【論説】選挙と体制外運動
【論説】選挙と体制外運動

    アンディ チャン

数人の候補者を選ぶだけでバカ騒ぎをしても中華民国体制はビクともしな
い。勝っても負けても中華民国政権は倒れないのである。選挙は民進党に
任せて民衆は反体制運動をすべきである。

選挙は国民を疲弊させるだけでなく革命のエネルギーも奪う。選挙で民間
の反政府エネルギーを浪費させ、経済、社会を疲弊させることが中華民国
の安全に?がることを忘れてはならない。

●続く選挙のバカ騒ぎ

2月の補欠選挙で4議席のうち3席を民進党が勝利したので台湾人は大喜
びである。これに続いて年末に行われる5大都市市長の選挙の候補者選び
で国民党、民進党は大騒ぎしている。党員でもない台湾の中間層、つまり野
次馬が大騒ぎして民進党の代表を誰にすべきかと侃々諤々の議論を毎日
続けている。

党員でもない野次馬が候補者を論じ、誰が国民党候補に勝てると言っても
無駄である。候補者は政党が決める、野次馬には影響力がない。野次馬が
民進党を支持するのは反中国感情が根強い証拠だが、このエネルギーを
体制外運動に持ってくればもっとよい結果が得られる。

民間の反馬英九、反政府を活発にすれば自然と民進党の応援になる。体
制外の指導者たちはこの選挙騒ぎの時期を利用して、選挙と体制外運動を
連結させるべきである。

●選挙は国民を疲弊させる

何の為に選挙をやるのか?選挙で政権を取れると思ったら間違いである。
政権を取っても中華民国体制は潰せない。

人民は独立のためなら民進党支持を惜しまないが、民進党が政権をとって
中華民国を維持するのなら援助しても意味がない。選挙は民間の金を吸い
取り、反政府エネルギーを消費させる効果がある。しかし反政府エネルギー
を消費させて中華民国を倒す運動が沈静化すれば台湾独立にとってはマ
イナスである。

去年の選挙から数ヶ月の間に三度も選挙があり、民進党候補が優勢を占め
たので、民衆はまるで将来の選挙も民進党が勝って、立法委員の選挙でも
大多数を獲得し、続いて中華民国の総統選挙でも台湾人が当選、続けて
中華民国を倒せるような錯覚に陥っている。

三回の選挙で反政府エネルギーを消費しても、結果は立法院127議席のう
ち33議席を取っただけだった。三分の一の議席ではどんな法案を出しても
表決では通らない。つまり中華民国体制は崩せない。

●選挙は政府安全の護符

選挙で反政府エネルギーを消費つくしてしまえば中華民国体制は安全だ
から、蒋系中国人にとって選挙は安全お守り、護符なのである。国民党の選
挙とは金、ヤクザ、戸籍制度、各社会団体を把握して公然と贈賄選挙がで
きるようになっているから民進党に勝ち目はない。過半数を取らなければ中
華民国政権はビクともしない。

民衆は選挙が民主国家の象徴であり、選挙ができるのは民主国家であるよ
うな錯覚を持っている。もしも「中華民国のような独裁国家は、独裁を維持す
るために選挙を行うのだ」と教えたら民衆は驚くだろう。孫悟空がいくら飛び
跳ねてもお釈迦様の掌から出ることができなかったように、民進党が選挙で
中華民国体制を潰すことはできない。体制外運動とは中華民国の掌から飛
び出すことである。亡命政府を支持する民進党は間違っている。

もちろん選挙になれば台湾人は体制外、体制内を問わず「台湾」に投
票する。しかし打倒政府を忘れてはならない。民進党は選挙を目標と
しているが、いくら世間で議論をしても民進党は派閥闘争に明け暮れ
て民意を聞き入れるほど成熟した政党ではない。

●相続く選挙で民衆を虚脱させる

一月と二月の補欠選挙は、前の選挙で国民党候補の贈賄行為の証拠が
挙がって当選無効を宣告されたから補欠選挙となったので、国民党は
ワイロを使えなかった。相手がワイロを使えず民進党が勝ったといっ
ても、五都市選挙になれば国民党が再度黒金選挙で臨むのは確実だ。

二月の選挙が終わるとメディアは直ちに両政党の候補者選びを報道し
て民衆があれこれ論評するようになった。つまりメディアを使って民
間のエネルギーを消費する戦略である。この状況が秋まで続くと体制
外運動の人々も選挙に浮かれて反政府運動は薄れてしまう。

それだけでなく、秋の五都市の市長選挙が終われば、勝ち負けについ
ての議論が起き、続いて2012年の総統選挙と騒ぎは続くのである。こ
れが続けば反体制運動は忘れる。これは危険である。

国民党は終戦後に台湾の日本資産を勝手に没収したので金持ちである。
これに比べて台湾人の民間が民進党に投資して選挙をやり、金を出し
続けるのは大変である。国民党は資金面で優勢だが、違法資金をスト
ップさせれば台湾人に勝ち目が出てくる。

●五都市選挙の見通し

今年秋に行われる五都市選挙とは、台北市、新北市、台中市、台南市、
高雄市の市長選挙である。現在の状況分析では、南部の高雄と台南は
民進党優勢で、中部と北部の台北、台中、新北は国民党優勢、つまり
民進党と国民党の比例は2対3である。五都市で総人口の60%を占め
る選挙だから、2012年の総統選挙に大きな影響を与える。

もしも選挙の結果が今と同じように2対3なら民進党は勝ったことに
ならない。次に3対2で余計に一つ取れば民進党がやや優勢となるが、
これで次の選挙に勝算がでてきたことにならない。総統選挙で優勢を
取るには4対1か、5都全勝でなければならない。

民進党が勝つかどうかは民衆の支持が大切である。つまり、民進党の
政策が民衆に受けるかどうかである。台湾は小さな島であり、台湾の
問題は各都市によって違うことはない。経済、失業率、治安などの問
題を見ても、政府の無能、馬英九の無能、中国接近などを批判すれば
よい。ところが民進党は別のことを考えている。

●民進党の「十年政治綱領」

民進党の蔡英文党首は、八月の民進党党大会で「十年政治綱領」を討
論し政党の中期目標として発表すると述べた。蔡英文はこの綱領は選
挙のためではないと述べたが民間では選挙がらみと見ている。

民進党が1999年の党大会で「台湾前途決議文」を発表してから11年
になるが、このときの決議文は:(1)台湾は独立した国家で、領土は
台湾、澎湖、金門、馬である、(2)独立国家だから中国と関係はない、
(3)台湾独立の現状を変えるには全体国民の投票で決める、などで
ある。つまり独立を主張しないと決めたのだった。

民進党はこの決議文に基いて独立を放棄し、中間路線で選挙をしてき
た。つまり独立を主張しない現状維持である。台湾人民の独立願望を
無視した民進党が失敗した主な原因である。

次の10年綱領で民進党がどのような主張を示すかで選挙の結末を予
測できる。民進党が続けて中華民国を支持する、「台湾は既に独立国家」
を主張するなら中国の併呑に反対の民衆は失望するだろう。

●反体制運動を怠るな

民衆の票を集めるなら、民衆に最も関心のある問題を優先しなければ
ならない。台湾の安全防衛、台湾独立、反ECFA(対中国経済協定)
を主題とすべきである。民衆の最大の関心は中国の台湾併呑にである
ことを忘れてはならない。

民進党は反政府を主張せず体制外運動に任せている。矛盾したことに
民進党は反政府の民衆が民進党を支持することを期待している。民意
がECFA反対を主張しているのに民進党が主張しない。民進党は中華
民国に反対せず、民間の支持を求めるという矛盾を抱えている。

体制外運動はもっと反中華民国を拡大し、選挙に惑わされて踊るよう
な愚を冒してはならない。体制外運動は反政府運動であり、これが台
湾人民の意思である。体制外運動を活発にすることが民意を鼓舞し、
民進党の応援となるのである。

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