【一台湾人より】再び日本の皆様へ(その三)

【一台湾人より】再び日本の皆様へ(その三)
【一台湾人より】再び日本の皆様へ(その三)

         (2013年中秋 by Andrew Chang 張介州、米国アリゾナ州在住)

●台湾人の日本観:

台湾は文化的、地理的に日本に近く、そして同様に黒潮の暖流が流れる温和な気候と自然の美に恵まれ、育まれた海洋型島国、が頻発する地震や台風などの天災での不幸時には助け合い、労わり合う心の熱い民族であり、それゆえ日本との親近感が強いものです。その証拠には福島の大災厄後、金銭・物資による救済額は台湾が世界第一位でそれが如実に物語っています。それから最近の民意調査によれば台湾人が好感を持つく国は米国や中国を遥かに凌ぎ、日本が最高だとの結果のレポートが発表されました。又ポップカルチャなどを通して日本びいきの青少年層の幅も広いようで、最近の対日世論調査でもはっきり出ています。

特に日本教育を受けた戦前世代は日本とかなり強い絆をもっています。勿論植民地としての台湾の「本島人」は太平洋戦争前まで二等国民として扱われ、参政権も与えられず、日本本土から移住した統治者階級の「内地人」には劣等感を感じたことも事実でした。

しかし公平に言って、一般の台湾人当時の内地人に好感と尊敬の念を持ち、頭を下がらずにはおられない面が多くありました。それは維新後両刀を外し、武士の伝統を受け継いだ警察の清廉と悪を挫く愛民の精神に敬い親しみ、日本人の清潔、素朴と礼儀作法に深く印象付けられたものです。それは戦後目にし、身をもって体験した貪欲・残忍な外来政権の下で暮らした我々は「名こそ惜しけれ」を重んじる日本士族のの精神が一層懐かしく思われます。

日清戦争で当時の清朝の中国から割譲した台湾は、歴史的に頻繁な一揆反乱で北京の天朝政権がもてあました「化外」蛮夷の地で、日本からの植民地政権は、平定の過程で行き過ぎたケースもありましたが、その後日本の国威向上と南洋進出の基地となり、現代化と皇民化政策で急速に発展、当時のアジア諸国よりももっと現代化され、ある面では「内地」の日本本土をも凌ぐと言われたほどでした。そして台湾のために命まで全てを捧げ、上からは総督、教師、技術者など多くの方々が台湾の土となり、その魂が今でも台湾に残っています。例えば台湾の水利工程で台湾経済に欠かせないダムを設計した八田与一氏と夫人、今でも台湾人が守護神と崇め偲んでいます。

前の「日本の方へ」で述べたように、“幼時日本国民として教育された我々の世代は日本文化と触れ合い馴染み、特に日本伝統の美−茶道、書道,武道などを通して「道」のレベルに達した美の真髄である「幽玄の美」−に心を魅かれるものです。そのわけで日本は中華の伝統を抜根的に破壊し、欺瞞、虚偽,非道に満ちた中国よりも、、、親しみやすい。。。”と申しました。

●日・台・米共同体を:

台湾は西太平洋の戦略的かなめであり、アイランドチェインの要衝にあり、その安全と独立は日本の安全と繁栄に関わる存在です。従って自国防衛とアジア平和のため、日台が固く結び、アメリカと組んで日・台・米共同体を作りるのが得策で自明の理です。

今やアジア大陸に崛起した一党独裁の政権が高揚する民族主義を利用し、政権に対する国民の不満を国外に向かせ、国威高揚の名で西太平洋の島礁の主権問題で近隣諸国の安全を脅かす中国の覇権を抑えるには日・米両国の協力がなければないりません。戦後の一味対米依存では国の安全を守るのは賢明ではありません。

なぜなら過去十数年に及ぶ港湾戦争で疲労困憊し、それに経済衰退で弱体化したアメリカは日本なしでは中国と対立する意力がありません。従って日本の国力は自国のみならずアジアの安全に欠かせないもので、防衛力の強化は喫緊の要務であります。

日本の経済は衰退したものの、その底力は今でも躍動しています。そしてその高度な技術、洗練されたサービスは世界が必要としています。対外負債や海外市場に依頼する西洋諸国と違い、高い貯蓄率と国内市場の幅は日本の強みで、それに加えて、勤勉努力する国民性は日本の強み。願わくば2020年の東京五輪は日本経済復興の起発剤となるよう。

●結び:

社会は時代の変遷と共に変わるのは自然の成り行き、特に科学・技術の飛躍的進歩で一層目立ち、それがどこまで行くかはこれからの課題であります。

しかし社会安の安定と人生の幸福の支柱となる価値観、道徳観はそんなに変わるものではないもの。なぜなら伝統は過去の優れた価値のあるものを積み重ねた人類社会の経験で、それを受け継ぐべきものです。

従って若き世代の日本人が受け継ぐべき最も大切なものは日本人の持つ美質であり、つまり“働くことが好きで、学ぶこともすきで、優れた異文化をこだわりなく受容する”ことであります。なぜなら日本昔からアジア大陸の文化と文字を摂取し、見事にアジア文化の完成体を作り、また維新後西洋の科学と芸・美術をも取り入れて現代化し、東西両洋のかけ橋となり、世界文明に寄与すること甚大であります。

「逝きし世」を儚なみ偲ぶのおセンチだとお笑いになるかも知れませんが、嘗ては実際に社会・家族のために奮発する微笑ましい時代でした。それが今の日本に失ったと思いません。なぜなら思いやりのある心、自然の美、神の摂理を重んじる伝統的な方が今でも多くおられるはずです。

それはまさに名著講義で藤原正彦教授が「逝きし世の面影」で言われたように “ ボーダレス時代とかグローバル社会と言われた現代にあって、、、地球で最も美しい花、すなわち地球の各地に生まれた文化や伝統を抹殺しようとして、、、21世紀はグローバリズムではなく、ローカリズムであるべき” と感銘せざるをえない至言であります。(文春 2009 3月号、p.395)そして日本の社会文化と社会道徳を、世界の人が富士の秀峰に目と心を魅かれるように。

この度福島の惨事で見た日本は心に久しく秘めた面影を甦らせ、心の温たまる思いをしました。それは窮状の中でも、被害者は礼節と品位を保ち、奪うことなく労わり合う精神と美徳、世界でも稀な道徳的国民で、幼少時に見た「向こう三軒両隣」の強い絆の隣人・同胞愛を感じました。

私たちの世代は昔から「親に孝に、夫婦相和し,兄弟相信し、恭倹己れを持し、学を修め、業を習い、博愛衆に及ぼし、、、」の教育勅語を覚えさせられ、それを励行するように躾けられました。これが反動・保守と嘲られば悲しいことです。それは民主・自由・人権に悖る価値観であるはずではありません。なぜならばそれは人類社会の「和祥」の基盤となる道徳観と価値観であるはずです。

そして日本は教育を通して「病んだ国」から立ち直り、見失われた伝統価値を取り戻し、自国の誇りをもつべきです。そして際限なき物資的豊かさよりも中庸の道で「心豊かな」な人生観を持ち、もとよりあった日本人の心、すなわち自然と共生する伝統的知恵と文化・価値観をアイデンティティにし、世界に示すべきではないかと思います。そして愛と慈悲の文化は日本の真の力であることを信じて下さい。

くだらなぬ鄙見をたらたらと、お笑いなく。そして皆様のご健康とご幸福を。

『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html

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