新しい在留管理制度として、特別永住者には「特別永住者証明書」、それ以外の在日外国
人(中長期在留者)には「在留カード」が交付される。
台湾出身者の場合、外登証の国籍欄は「中国」「中国(台湾)」などと記されていた
が、この在留カードの「国籍・地域」欄には「台湾」と表記されるようになる。
法務省が6月25日に開いた記者会見で在留カードと「特別永住者証明書」の見本を公開し
たが、それを伝える中央通信社の記事を紹介したい。
記事では触れられていないが、在日外国人も日本人と同じように7月9日から住民基本台
帳に記載し、新たに住民票が作成される。その「国籍・地域」欄は、台湾出身者の場合、
在留カードと同じように「台湾」と表記される。
本誌でもこのことを伝えた際、「仮住民票記載事項通知書」あるいは「仮住民票通知」
は外登証の記載を基にしたため、台湾出身者の「国籍・地域」が「中国」のままとなって
いて混乱をもたらしていることを取り上げた。
このような混乱を収めようと、外登証で「中国(台湾)」と記されている場合は「台
湾」と記した「仮住民票通知」を再発行している自治体も出てきている。すでに在留カー
ドでは「台湾」と記すことを決定したうえでの外国人住民票なのだから、当然の措置だろ
う。
しかし、このような措置を取っているのは一部自治体のようで、もし「中国」と記され
ていたら、自治体の窓口に外登証原票の表記訂正を申請しなければならない。ただし、7月
9日以降は在留カードを基とするため、外国人住民票も自動的に「台湾」と記されるように
なる。
実は、この外国人住民票で問題が起こっている。それは名前の漢字表記の問題だ。これ
までの外登証では、中国出身者なら簡体文字で名前を記し、台湾出身者は繁体文字で記し
ていたが、それが住民票ではいわゆる日本の漢字で表記されるためで、たとえば[女意]
という字は[口意]と変換されてしまう。
そのため、総務省の外国人住民基本台帳課では昨年末に「漢字変換表」なるものを作成
して自治体に配布している。
しかし、[女意]と[口意](噫)では意味が違う。せっかく親につけてもらった名前
が使えなくなるという悩ましい問題が出てきている。なぜ外登証で表記しているのに、在
留カードや住民票では表記できないのだろう、と当事者の疑問は消えない。総務省も今の
ところ、この悩みを解決する有効な打開策は打ち出せていない。
◆仮住民票の「国籍・地域」欄で「中国」とされている在日台湾人[2012/5/23] http://melma.com/backnumber_100557_5567340/
日本、7/9から在留カード開始 出身の記載「台湾」に
【中央通信社:2012年6月26日】
(東京 26日 中央社)日本の新たな入管難民法が7月9日から施行され、日本に中長期滞
在する外国人が持つ外国人登録証明書に替わり、ICチップ内蔵の「在留カード」が発行さ
れる。在留カードでは、これまで「中国」とされてきた台湾籍者の出身が、「台湾」との
記載に変更される。
すでに発行済みの外国人登録証明書はそのまま一定期間使用できるが、新制度開始以降
であればいつでも切り替えが可能。
在留カードの新規申請は、成田・羽田・中部・関西の4国際空港で入国時にその場で手続
きと受け取りができるほか、居住地の市区町村窓口で受付している。
新制度では、在留期間の上限がこれまでの3年から最長で5年となり、また有効期限内で
あれば、1年以内に再入国する場合は再入国許可申請が不要となる。
台湾で中長期滞在外国人に発行する「居留証」は、偽造防止などを主な目的に、2007年7
月からICカード化されている。