展覧会を開催いたします。
立石鐵臣は台北に生まれ、少年期に帰国し、日野尋常小学校、明治学院中学校に学びます。幼少
期は病身がちでしだいに絵画に関心を深め、鎌倉で岸田劉生(きしだ・りゅうせい)から、さらに
東京で梅原龍三郎(うめはら・りゅうざぶろう)からと、大正と昭和を代表する二人の巨匠から指
導を受け、日本絵画の将来を嘱望されました。
幼少期の台湾経験もあり、再び台湾にわたり絵画、民俗研究、装丁、批評活動などに幅広く活
躍。台湾近代油画の重要画家、楊三郎、陳澄波、陳清汾、李梅樹、李石樵、廖繼春、顔水龍らが、
台湾最大の在野油絵団体「台陽美術協会」を創立するにあたり、ただひとりの日本人として立石鐵
臣おみが迎え入れられるなど、まさしく台湾を愛し、そして台湾から愛された画家でした。
1945年日本の敗戦により、2年間の留用期間を経て、作品も資産も全て失っての日本への引き揚
げとなり、戦後はまさにゼロからのスタートでした。
台湾時代に得た細密画技法は冴え渡り、日本の細密画の最高峰に至りました。台湾での様々な出
会いが、戦後日本の子供たちへ昆虫図鑑や児童書の挿絵などを通して伝えられました。再び訪れる
ことのなかった麗しきふるさと台湾へのあふれんばかりの郷愁の念が、彼の代表作「春」にこめら
れました。
またこの度の展覧会では、立石鐵臣が大コレクター福島繁太郎に贈った「台湾画冊」を日本初公
開いたします。ここには立石の台湾への想いが凝縮されているばかりでなく、日本統治期の台湾の
世相のぬくもりさえもが濃厚に感じられます。
台湾で活躍した立石鐵臣おみの回顧展は、新たな日本近代絵画の幅を広げ、今後のさらなる台湾
と日本との友好と互いの文化風土の特性を認め合う相互文化の豊かさにつながるものと確信し、展
覧会を開催いたします。ぜひご覧下さい。
◆麗しき故郷「台湾」に捧ぐ−立石鐵臣展
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/tateishitetsuomi.html
府中市美術館
◇ ◇ ◇
◆会 期:2016年5月21日(土曜日)から7月3日(日曜日)まで
*休館日=月曜日
*開館時間=午前10時から午後5時(入場は4時30分まで)
◆観覧料:一般=700円、高校生・大学生=350円、小学生・中学生=150円
*20名以上の団体料金は、一般560円、高校生・大学生280円、小学生・中学生120円
*未就学児および障害者手帳等をお持ちの方は無料
*常設展もご覧いただけます
*府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」で無料
◆主 催:府中市美術館
〒183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内)
電話:042-336-3371(代表)
【交通】京王線の府中駅から、「ちゅうバス」のご利用が便利です。
府中駅までは、京王線新宿駅から、特急、準特急で約20分です。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/access.html
◆後 援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
◆協 力:一般財団法人 台湾協会
◇ ◇ ◇
◆関連イベント
・日曜スライドトーク
展覧会の見どころを学芸員が説明いたします。
毎週日曜日 午後2時から20分 講座室 無料 事前申込み不要
・特別ギャラリートーク
「父、立石鐵臣について」
講師:立石光夫(ユザワヤ芸術学院学院長)
6月19日(日曜日)午後2時30分から 企画展示室 展覧会観覧券が必要
・講演会1
「台湾近代美術と立石鐵臣」
講師:森美根子(台湾近代美術史家)
6月5日(日曜日)午後2時30分から 講座室 無料 事前申込み不要
・講演会2
「立石鐵臣という画家」
講師:志賀秀孝(当館学芸係長)
6月26日(日曜日)午後2時から 講座室 無料 事前申込み不要