・会 期:5月12日(火)〜30日(土)
・会 場:泰明画廊
東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビル
TEL:03(3574)7225
【交通】地下鉄:丸の内線「銀座駅」徒歩5分 日比谷線「銀座駅」徒歩5分
http://www.taimei-g.com/index.htm
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台湾美術評論家で『台湾を描いた画家たち』(産経新聞出版社、2010年刊)の著書がある森美根
子さんから、来る5月12日から銀座・泰明画廊で立石鐵臣(たていし・てつおみ)の生誕110周年を
記念した作品展が開かれることを、下記に紹介する立石鐵臣の功績とともに教えていただいた。
50余点を紹介するというこの作品展については、昨4月20日に発売された「月刊美術」5月号でも
取り上げていることも教えていただいた。そこでは見開きで「台湾美術の発展に貢献した画家・立
石鐵臣。現在でもその業績は高く評価され、1996年には台北県立文化センターで作品展が開催され
た、今なお台湾で愛される日本人画家である」と紹介している。森美根子さんはこの作品展「民俗
風情―立石鐵臣回顧展」で日本側責任者を務めた。
日本と台湾の交流では、この美術関係からの視点も重要だ。中でも、石川欽一郎(いしかわ・き
んいちろう)、塩月桃甫(しおづき・とうほ)、立石鐵臣の存在は際立っている。
詳しくは、その3人とともに台湾美術界で活躍した18人の画家を描いた、森さんの『台湾を描い
た画家たち』に当たられたい。李登輝元総統も「台日芸術交流史を日本語で著した貴重な本」と評
価されていた。
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立石鐵臣の功績は、なんと申しましても、皇民化運動が激化していく昭和16年に台北帝大教授・
金関丈夫、中村哲、総督府情報部嘱託・池田敏雄、台南第一高女教諭・国分直一、写真家・松山虔
三とともに、雑誌「民俗台湾」を創刊、編集に参加し木版画による「台湾民俗図絵」を発表したこ
とでございます。
台湾の伝統文化(民俗・習俗)を愛護するために創刊された本誌は、当時は決して歓迎すべき雑
誌ではなかったそうですが、そんなことには目もくれず、立石は酷暑のなか、連日のように万華、
大稲埕を探訪してスケッチをし、庶民の姿を生き生きと木版に写しとったのでございます。
そればかりではありません。当時の台湾の知識人の多くが雑誌「民俗台湾」に寄稿、雑誌の創刊
によって育まれた日本人と台湾人の友情の絆は、皇民化運動のなかで展開された特筆に値する出来
事だったのでございます。
生前、自分は「半分は日本人、半分は台湾人」と述べ、終生、台湾を愛しつづけた日本人画家の
軌跡を戦後70年をむかえるにあたり、日台交流秘話として採り上げて戴ければ幸甚に存じます。
展覧会の情報は、銀座の泰明画廊のホームページ上に掲載されています。会期中、日本統治時
代、立石が描いた台湾の風景画の下絵や「台湾民俗図絵」の下絵など、台湾を主題にした画稿も多
数展覧される予定です。
ご多忙中とは存じますが、展覧会に是非ともお出かけくださるよう宜しくお願い申し上げます。