4月の日米首脳会談の共同文書に「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記か

4月の日米首脳会談の共同文書に「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記か

 菅義偉総理は4月8日から10日の日程で訪米し、9日にもバイデン大統領との首脳会談を対面で開催する見込みと報じられている。予定どおり実現すれば、バイデン大統領が就任後対面で会う初めての外国首脳になる。

 この首脳会談で発表される「共同文書」では、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であると確認することなどを盛り込む方向で調整が行われていることを中心に伝えられているが、日本経済新聞は「台湾海峡の安定が重要だとの認識を明記する調整に入った」と報じている。

 3月16日に日本で行われた「日米安全保障協議委員会」(2+2)でも、共同発表では、国際法に抵触しかねない中国の海警法施行への深刻な懸念を共有すると同時に、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」したと記された。

 実は、日米の「2+2」で台湾海峡に言及したのは今回が初めてではない。16年前の2005年2月19日、ワシントンにおいて、日本は小泉純一郎政権の町村外務大臣と大野防衛庁長官、米国はジョージ・W・ブッシュ政権のライス国務長官とラムズフェルド国防長官が出席して開かれた「2+2」の共同発表でも「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す」と記されたことがある。

 これは「地域における共通の戦略目標」で触れられていて、他にも「朝鮮半島の平和的な統一を支持する」や「中国が地域及び世界において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎し、中国との協力関係を発展させる」など12項目の一つとして取り上げられた。

 しかし、2021年3月の日米2+2の共同発表では「台湾海峡の平和と安定の重要性」は数ある中の一つではなく、中核を占める日米共通の認識となっている。

 米国はトランプ大統領時代の2019年10月、ペンス副大統領が「米国はもはや、経済的関与だけでは中国共産党の権威主義的体制を自由で開かれた社会に転換できるとは期待していない」と、中国共産党政権へ決別宣言ともいうべき演説をし、歴代米政権がとってきた、中国が経済的に発展すれば民主化が促進され、国際社会の一員として責任ある振る舞いをするとの幻想は抱いていないという立場を鮮明にした。

 バイデン政権もまた、中国が世界において責任ある建設的な役割を果たすなどという幻想は抱いていない。それは、ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官の「我々は(中国に)代償を払わせる用意もできている」という発言に鮮明に現れている。

 日本経済新聞は、台湾海峡について「日米首脳会談の文書で明示するのは珍しい」と書いているが、52年前の1969年や16年前の2017年のときとは状況が一変している。台湾が「自由で開かれたインド太平洋」の要衝にあり、中国の習近平・国家主席自身が台湾への武力行使を放棄しないことを宣言していることに鑑み、また、立ち遅れている台湾有事や尖閣有事への日本の対応を促すためにも、首脳会談の共同文書に「台湾海峡の平和と安定の重要性」についてぜひ書き入れてもらいたいものだ。

—————————————————————————————–日米「台湾海峡」明記へ 首脳会談で共同文書、中国懸念【日本経済新聞:2021年3月30日】

 日米両政府は4月上旬にワシントンで開く首脳会談の際に出す共同文書で、台湾海峡の安定が重要だとの認識を明記する調整に入った。中国の海警法に対する「深刻な懸念」も表明する。中国の覇権主義的な動きに日米で対処する姿勢を示す。

 台湾海峡を日米首脳会談の文書で明示するのは珍しい。中国との国交正常化前の1969年に佐藤栄作首相がニクソン米大統領との共同声明で、台湾地域の平和と安全の維持が日本の安全に重要だと指摘した例がある。

 菅義偉首相はバイデン氏が米大統領に就任して初めての対面で会談する首脳として招かれた。米国は中国への危機感を強め、同盟国の日本との連携を重視する。

 3月中旬にブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日し、東京で日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いた。共同発表で「台湾海峡の平和と安定の重要性」と記した。

 首脳会談の文書でも同様の表現を取り入れる案がある。

 中国は2月、海警局を準軍事組織に位置づけ、外国船舶に対して武器使用を認める「海警法」を施行した。中国は台湾周辺の海域で圧力を強めており、軍事衝突の懸念が高まっている。

 バイデン氏は3月25日、就任後初の記者会見で「中国は最強の国になる目標を掲げているが、私の監視下ではそうはならない」と発言した。台湾とは沿岸警備の協力強化に向けた覚書を結んだ。

 沖縄県・尖閣諸島の周辺を巡っては中国海警局の船が接続水域を航行し、繰り返し領海に侵入している。首相は各国首脳らとの電話協議で海警法への「深刻な懸念」を伝えており、バイデン氏とも認識を擦り合わせる。

 両首脳は尖閣諸島への日米安全保障条約5条の適用も確認する。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携を強化する方針も打ち出す。

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