韓国も「台湾海峡の平和と安定の重要性」を共有

 12月2日、米国と韓国がソウルで米韓定例安保協議(SCM)を開き、「『台湾海峡の平和と安定の重要性を確認する』と明記した共同声明を採択し」「SCMの共同声明に台湾問題が盛り込まれるのは初めて」と読売新聞(下記)が報じている。

 本誌では、4月の米首脳会談から6月の先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)まで5度の国際会議において、中国への「深刻な懸念」とともに「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」という同じフレーズが盛り込まれたことを何度かお伝えしてきたが、韓国もまた安全保障会議で「台湾海峡の平和と安定の重要性」を共有することになった。

 実は、台湾と韓国は12月17日に「二重課税の回避および脱税の防止のための取り決め」について合意し、2014年からはじめた話し合いがようやく決着したばかりだ。

 このタイミングで、韓国が「台湾海峡の平和と安定の重要性」を共有したことで、「小中華」とも言われ、中国べったりだった韓国の風向きが変わってくることも考えられそうだ。今後の台湾と韓国の関係に意を払いたい。

—————————————————————————————–米韓「台湾海峡の安定の重要性を確認」…安保共同声明に「台湾」初めて盛り込む、中国の反発必至【読売新聞:2021年12月2日】https://www.yomiuri.co.jp/world/20211202-OYT1T50153/

 【ソウル=上杉洋司】米国のオースティン国防長官と韓国の 徐旭ソウク 国防相は2日、ソウルで米韓定例安保協議(SCM)を開き、「台湾海峡の平和と安定の重要性を確認する」と明記した共同声明を採択した。聯合ニュースによると、SCMの共同声明に台湾問題が盛り込まれるのは初めてで、中国が反発するのは必至だ。

 オースティン氏は協議後の記者会見で、中国の軍事力強化に懸念を示し、「中国が米国と同盟国に向けている全ての脅威を防御し、抑制する」と強調した。徐氏は、「韓米は全世界の平和と安定の維持のため緊密に協力していく」と述べるにとどめた。

 SCM開催はバイデン政権下では初めて。米韓は5月のバイデン大統領と 文在寅大統領の首脳会談の共同声明でも台湾問題に言及し、中国が「火遊びをするな」と反発した。韓国は米中対立に曖昧な態度を取ることが多いが、今回の共同声明は、バイデン政権の強い意向が反映されたようだ。

 北朝鮮問題については、核兵器やミサイルに米韓が共同対応するための新しい「作戦計画」の策定や、来年の合同軍事演習実施に向けた協力などが盛り込まれた。日米韓の安全保障面での協力の重要性も確認した。

 文大統領は来年5月の任期末までに朝鮮戦争(1950〜53年)の終戦宣言実現を目指すなど、北朝鮮との関係改善に向けた意欲は強い。オースティン氏は「北朝鮮に対話を呼びかけると同時に、(米韓の)防衛態勢を向上させねばならない」とクギを刺した。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: