地方裁判所で開かれ、2年半を経た去る8月24日の第13回口頭弁論で全ての口頭弁論が終わ
りました。そして、来る12月14日に判決が下されます。
皆さまの傍聴をお願いします。先着順ですが、午後1時30分から「傍聴券」を配布いたし
ます。
◆日 時:12月14日(金) 14時00分
◆場 所:東京地方裁判所 103法廷
*13時30分より「傍聴券」を配布(先着順)。
いささか長くなりますが、これまでの経緯を編年的に振り返ってみます。
・平成21(2009)年4月5日
NHKが「NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー 第1回 アジアの“一等
国”」を放映。
・6月25日
NHKの当該番組の内容は、事実と異なる偏向、やらせや事実の歪曲・捏造があり、放
送法の定める公平な報道に違反し、精神的損害を受けたとして、視聴者および台湾人約
150名を含む原告8389名が、NHKに対して原告1人あたり1万円の損害賠償を求める訴え
を東京地方裁判所に起こす。弁護団は高池勝彦弁護士が団長となり、荒木田修、尾崎幸
廣、勝俣幸洋、田中禎人、溝呂木雄浩、山口達視の各弁護士。
・10月6日
番組出演者の高許月妹さんや陳清福氏などパイワン族37人を含む1966人が事実の歪曲が
あったなどとして新たに約2600万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴。1次提訴
とあわせた原告は1万355人となり、請求総額は約1億1000万円となる。
・平成22(2010年2月15日
NHK「JAPANデビュー」裁判の第1回口頭弁論が開かれ、小田村四郎・日本李登輝
友の会会長、水島総・日本文化チャンネル桜代表、柚原正敬・日本李登輝友の会事務局
長、永山英樹・台湾研究フォーラム会長が意見陳述。
・5月14日
第2回口頭弁論。華阿財氏が包聖嬌夫人とともに来日して意見陳述。司法記者クラブで記
者会見。
・7月9日
第3回口頭弁論。
・9月17日
第4回口頭弁論。番組出演者の藍昭光氏、高許月妹さん、陳清福氏が意見陳述書を提出。
藍昭光氏、陳清福氏、華阿財氏が来日し、司法記者クラブでの記者会見や報告集会を開
催。
・11月19日
第5回口頭弁論。
・平成23(2011)年2月18日
第6回口頭弁論。
・4月22日
第7回口頭弁論。
・5月24日〜27日
高池勝彦、尾崎幸廣両弁護士らがパイワン族原告の華阿財夫妻や李新輝夫妻の案内で屏
東・高士村に原告の高許月妹さんや通訳の陳清福氏らを訪問し実地聞き取り。
・7月1日
第8回口頭弁論。
・10月7日
第9回口頭弁論。
・11月中旬
「日台戦争」という用語を用いた中京大学教授の檜山幸夫氏が原告側の証人を承諾。原
告弁護団は檜山氏の人証申請を東京地裁に提出。檜山氏が自著『明石元二郎関係資料』
の中で、NHKの当該番組を「犯罪性」という言葉を使って5つの観点から批判、またN
HKが檜山氏に無断で「資料提供」協力者として名前を掲載していたことも指摘。
原告弁護団は『明石元二郎関係資料』を証拠申請し、NHKが檜山教授の創造した「日
台戦争」を誤用して番組で伝えていること、同氏の抗議に対してNHKが誠意を持って
対応しなかったこと、NHKの取材方法に誤りがあることなどを指摘。
・12月9日
第10回口頭弁論。
・平成24(2012)年3月2日
第11回口頭弁論で、パイワン族原告の陳清福氏が証人として出廷。陳氏は、NHKの島
田雄介ディレクターたち取材陣は「見せ物」になったという説明はせず、「父親がロン
ドンに行ったことは知っていると思うが、この人を知っているか」とだけ述べてパイワ
ン族の集合写真を1枚見せ、高許月妹さんの父親だけ写っている写真を見せたと証言。ま
た、NHKが陳氏に対して「もみ消し工作」を行っていたことについて、台湾で雇った
台湾人コーディネーター陳瑞宗が高士村まで訪ね「告訴したらお金がかかるし、東京は
遠い」と暗に告訴を取り下げるよう勧めたと証言。
・5月18日
第12回口頭弁論で、台湾取材した被告NHKの島田雄介ディレターが証人として出廷。
原告側の尾崎、高池、勝俣の各弁護士が質問。島田証人は集合写真を見せていない、
「見せ物」という言葉を使って説明したなどと証言。最後に裁判官が、陳清福氏が通訳
した後でなぜ高許月妹さんにもう一度意味を確認しなかったのかとも質問。
・8月24日
第13回口頭弁論が開かれ、原告側弁護団の高池勝彦弁護団長は、これまでの争点を整理
し、原告側の主張を改めて取りまとめたA4判で26ページにも及ぶ「第8準備書面」を提
出。尾崎幸廣弁護士がこの準備書面について要点を述べ、また、高許月妹さんの父親が
日英博覧会で「見せ物」として「展示」されたと主張する被告NHKに対し、アメリカ
では今でもプリマス開拓村の原住民の生活を展示し実演していることを示す冊子の写
真、NHKの取材が不公正で捏造することは本件にかぎらないとして、ある人気漫画家
にNHK側が考えた「ストーリー」に即した答を強要したことが過去にもあったことな
どを「証拠説明書」として提出。
東京地裁の小野洋一裁判長は弁論終結を宣言するとともに、12月14日午後2時から103号
法廷において判決を言渡すことを述べて閉廷。