■香港で台湾への注目集まる［香港在住 台湾李登輝学校研修団一期生 好田良弘］
９月４日から香港駐在員として勤務しています。当地では英字紙サウスチャイナ・モー
ニングポストを購読していますが、９月８日付紙面には、裏一面にあたる最終面に「Past
glories＝過ぎ去った輝かしい時」と題したマーク・オニール記者による特集記事が掲載
されていました。
内容は、日本統治を経験した老世代の台湾人からの聞き取りを主としたもので、台湾に
発展をもたらした日本の統治への評価と、蒋介石時代の混乱に対する非難がそのまま紹介
されており、反日感情が決して希薄ではない当地の有力英字紙にこうした記事が掲載され
ることは、特に当地に在住し、極東情勢に関心を持つ米国などの第三国人の日台関係に対
する理解を促す上で、好ましい傾向ではないかと受け止めています。
また、昨週後半から週末にかけては、陳水扁総統の辞任を求める運動に関する報道が連
日トップ扱いであり、９日午後には、台北で行われたデモ行進の模様をテレビが長時間に
亘り生中継していました。
こうした関心の高さの背景には、既に中国領と化しつつも、独立行政区の長である行政
長官を２０１２年に直接公選制化する運動が進行するなど、独自性の維持を模索し続ける
香港にとり、民主化を確立し、独立した政体を維持しつつも、中国による併呑の抑圧を受
け続ける台湾を、鑑のように捉える意識が存在するものと観察しています。
