陳水扁総統が条件付きで国民投票の延期を検討

【3月7日 台湾週報】
 
 陳水扁総統は3月5日、総統府で黄昆輝・台湾団結連盟(台連)主席と会談し、3月22
日に総統選挙と同時に実施予定の国民投票に関して意見交換を行った。

 会談後に黄主席は台連党本部で記者会見を開き、陳総統との会談内容について説明し
た。

 黄主席は、民進党が推進する「台湾名義による国連加盟」(加盟案)と国民党が推進
する「中華民国またはその他尊厳ある名称による国連復帰」(復帰案)の両国民投票が
いずれも通過しなかった場合、国際社会から誤った判断をされるとして、総統選挙と国
民投票を別の日に実施するよう陳総統に建議したことを明らかにした。

 黄主席は「陳総統は国民投票を必ず通過しなければならないと強調しているが、総統
選挙と分けて実施してはじめて通過できる。もし、陳総統が協議して、各政党が一歩ず
つ譲れば、円満に解決し、新たな台湾の歴史を創造できる」と述べ、「両党が合意すれ
ば、行政サイドが中央選挙委員会の会議を通じて決定できる。別々に実施してこそ台湾
の安全が守れる」と呼びかけた。

 さらに、黄主席は「目下の情勢として、この2つの国民投票はいずれも通過しない可
能性が高く、国際社会に台湾の国民が国連や国際組織に加盟を望んでいないと誤って解
釈され、自己の主権を自己否定してしまうことになりかねない」と指摘し、「国民党は
国民投票通過のハードルを下げるよう法改正すべきである。もし民進党が国民投票を総
統選挙とは別の日に実施することで、時間をもって空間を勝ち取り、国民党も国民投票
法の改正に同意し、国民投票通過のハードルを下げれば、事は円満に解決できる」と強
調した。

 黄主席は、陳総統が黄主席の意見に対して、「もし国民党が国民投票通過のハードル
を下げることに同意すれば、国民投票と総統選挙を別の日に実施することを話し合いた
い」として、条件付で改めて謝長廷・民進党総統候補および国民党と協議する意向を示
したことを明らかにした。

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 陳水扁総統と黄昆輝・台連主席との会談に関して、民進党総統候補である謝長廷・民
進党主席は3月6日、「陳総統と黄主席は、国民投票が通過しなかった場合の(国家に対
する)障害が大きく、国民投票を通過させることが重要だと考えている。国民投票を総
統選挙と合併して行うのは、経費が節約できることのほか、現行の国民投票の通過ハー
ドルがきわめて高く、800万人以上投票しなければ(通過条件の有権者の)過半数の投
票率に達しないからだ。仮に選挙と同時でなければ、さらに通過が難しくなる」と指摘
した。

 そのうえで、謝主席は「もし、国民投票の通過ハードルを下げて、国民投票を通過で
きるようにするなら、提案されている折衷案を受け入れてもよい」との考えを示す一方
で、「もし国民党が何もかも拒否して、国民投票を通過させないようにするなら、われ
われは選択の余地がない」と語った。

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 呉伯雄・国民党主席は3月6日、「国民党の立場は変わっていない。国民党は国民投票
自体には反対しないが、国民投票を選挙の道具として弄ぶことに固く反対する。中央選
挙委員会は速やかに総統選挙と国民投票を切り離すよう望む」との考えを述べ、国民党
の国民投票に対する立場を3月12日の中央常務委員会後に説明することを明らかにした。



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