去る8月28日、故・宮沢喜一元首相の葬儀出席のため来日した、台湾・民主進歩党の游
錫[方方の下に土](ゆう しゃくこん)主席が、行政院新聞組長や同秘書長(内閣官
房長官に相当)などの要職を歴任した葉国興氏(前総統府国策顧問)を伴い、台北駐日
経済文化代表処で記者会見を開いた。
第2次安倍内閣の印象や、来年3月の総統選挙の見通しについて語るとともに、台湾が
切り拓くべき道は「正名」(台湾に名を正す)、「制憲」(新憲法制定)、「国連加盟」
の3点であることを強調した。
その翌日の29日、民進党政府は蒋介石の誕辰記念日(10月31日)と逝去記念日(4月5
日)の廃止を発表したことは、昨日の本誌で伝えた通りである。民進党が主唱する「正
名運動」は着実に成果を挙げつつある。
游主席は、正名運動の最終目標は中華民国を名乗る国名を「台湾」に改称することだ
と力説する。これは、中華民国体制から脱却し、台湾人としての誇りやアイデンティテ
ィを確立しようとする李登輝前総統の考え方と変わらない。
台湾の新たな国造りは、来年1月12日投票の立法委員選挙、3月22日投票の総統選挙の
活動とともに新たな展開を見せてゆく。台湾とは歴史的、地理的、安全保障的観点など
から重要な関係を持つ日本にとって、これは他人事ではない。日本の存立に直接影響す
る一大事だ。
游主席が決意のほどを語る記者会見の模様を「台湾週報」からご紹介したい。
(本誌編集長 柚原正敬)
游錫[方方/土]・民進党主席が駐日代表処で記者会見
【8月29日 台湾週報】
故・宮沢喜一元首相の葬儀に出席するため訪日した游錫[方方の下に土]・民進党主席
は8月28日午後、東京白金台の台北駐日経済文化代表処を訪れ、駐日台湾記者団に向け記
者会見を開いた。
游主席は、「台湾名義による国連加盟」国民投票について、日本の自民党や民主党の
政界の友人らと話した際、「台湾の国内問題であり『尊重する』」という反応であり、
「反対」という言葉は聞かれなかったことを明らかにした。
8月27日にスタートした安倍政権新内閣について游主席は、内閣のイメージが一新し、
台日関係の良好な発展にプラスとなると期待を示した。
台湾の将来について游主席は、「台湾には3つの道がある。1つ目の道は国民党が主
張する『一つの中国』政策であり、『最終的な統一』や『両岸経済共同市場』である。
これは『投降』または『自殺』と言えるもので、将来は中国の一部となってしまう。2
つ目の道は『中華民国体制』の『現状維持』である。問題は、現状とは流動しているも
のであり、中国は三光政策(台湾の友好国をゼロにする、国際政治の場から台湾を抹殺
する、中国との対等な対話のカードをすべて取り上げる)を続けており、結果的には自
己の財産が守れなくなる『慢性自殺』である。3つ目の道は『正名』(台湾に名を正す)
、『制憲』(新憲法制定)、『国連加盟』であり、これこそが生きる道を切り拓くこと
ができる」との持論を展開した。
民進党が今年8月下旬に行なった世論調査によると、「台湾、澎湖、金門、馬祖を国
家の領土とすることに賛成」は85.2%、「台湾名義による国連加盟申請に賛成」は75.6
%、「私は台湾人であり、中国人ではない」は69.0%、「独立に賛成」は57.2%、「国
号を『台湾』と変えることに賛成」は48.9%、「新憲法制定に賛成」は54.9%という結
果が出たことから、游主席は、民進党が推し進める「正名、制憲、国連加盟」を明記し
た「正常国家決議文」は主流民意に合致していると強調した。
このほか、米国が「台湾名義による国連加盟」国民投票に反対していることについて
、「1.国連加盟、2.台湾、3国民投票、どれに反対しているのか」と反問し、特に
「台湾」名義に関しては「米国も日本も国際社会はみな台湾を『台湾』と呼んでいる。
台湾だけが『台湾』と呼んではいけないのか」と指摘し、「みんな私を『游錫[方方/土]』
と呼ぶのに、私は自己を『游錫[方方/土]』と呼んではいけないのか」と皮肉った。
来年3月の総統選挙について游主席は、「国家アイデンティティー」、「公平正義」
、「改革」の対決であるとし、いずれも民進党が有利であるとの認識と自信を示した。
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