台湾団結連盟が党改名も視野に再出発、李登輝前総統が両岸関係を語る

【4月24日 台湾週報】

 台湾団結連盟(台連)は4月23日午前、中央執行委員会を開き、第3回中央執行委員会
の解散し、黄昆輝・台連主席によって新たな中央執行委員会を組織し、党中央について
も一ヶ月以内に改造することを決定した。

 黄主席は「台連は今後、柔軟性のある政党に転換する。台連に共鳴する人々が集う『台
連の友』への加入を呼びかけ、台連は3.5%(立法委員選挙の得票数)から再出発する」
と決意を示した。

 台連は同日午後、台北市紹興北街の新中央党部で党本部移転茶会を開き、李登輝前総
統、蘇進強・台連前主席らが駆けつけ、祝賀の意を表した。

 このなかで、李前総統は「今回の総統選挙からは、『よくできなければ辞めてもらう』
という、人民が主人であるとする民主主義の観念が、すでに台湾の国民の心の中で深く
なっていることがわかる」と指摘し、「人々は、(指導者が)何を言ったかではなく、
何をしたかに注目している」と台湾の民主主義の進歩を評価した。

 李前総統は「2008年の総統選挙は統一か独立かという闘争の時代はすでに過去のもの
であるということを告げるものだった。台湾はすでに主権独立国家であり、これ以上台
湾独立を主張する必要はない」と述べ、「国民党内の統一派が統一を主張したとしても、
先に聞くべきなのは、胡錦濤(中国国家主席)が台湾を統一したいのか、統一する能力
があるのかであり、そもそもそれはないのである」との認識を示した。

 李前総統は「台湾は主権独立国家である。法的地位の問題に関しては、それぞれが真
剣になって研究しなければならない。経済を良くし、民主主義を引き続き深化させるこ
とで国際的評価を得てから、台湾は改めて法的地位を勝ち取ればよい」と強調した。

 さらに李前総統は「台湾と中国は2つの主権独立国家であり、両岸の貿易経済は国際
ルールに則って往来すればよい。但し、政治的な立場としては、必ず台湾の国家主権を
堅持しなければならず、これを譲ってはならない。また、両岸交流時において、防疫、
金融安定、治安等の問題はすべて政府が処理、解決しなければならない。これらの問題
は大手の企業家が見落としがちなところなので、政府が必ず責任を負わなければならな
い」と指摘した。

 馬英九・次期総統が当選後に「『一つの中国』の解釈を各自表明する」とする「92年
のコンセンサス」を表明したことについて、李前総統は「この過程は私が最も理解して
いる。これは元行政院大陸委員会主任委員の蘇起氏が2000年に言ったものだが、蘇氏は
そもそもこの会議(1992年の香港会談)に参加していなかった。後に蘇氏もこのような
意味はなかったと言った」と指摘し、「92年のコンセンサス」の存在を否定した。

 三通、直航に関して、李前総統は「国家の立場を堅持し、国際ルールに則り、国家安
全に注意しさえすれば、どのように進めても構わない」としながらも、「台湾の人々は
長期間にわたるイデオロギー闘争を経て、休息を求めている。しかし、いま『中国と三
通、直航を進め、いわゆる共同市場を推進しさえすれば台湾の経済はよくなる』という
もう一種のイデオロギーが湧き起こっているようだが、私はこの説をあまり信じない。
これは台湾にとって危険なものである」と述べ、過度の中国傾斜に懸念を表明した。

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 黄昆輝・台連党主席は今後の党運営に関して、「台連が発表した『中道左派』路線は、
国民党や民進党からも反響があった。引き続き、台連は新政治文化運動の推進を国民に
呼びかけたい」と述べ、さらに多くの在野勢力を引き込むために党の改名も排除しない
考えを示した。

 黄主席は、「台連は8年政治改造計画を策定し、シンクタンクを通じて世論調査セン
ターを設立し、政策のチェック&バランスと戦略計画能力を強化して国民党と競争し、
国民党の汚職腐敗、派閥による山分け、黒金(ヤクザ政治)の復活を予防したい。また、
地方のエリートを養成し、政治闘争を政策競争に、民族対立を政策監督に、懐疑的な罵
り合いを理性的な対話に変えていきたい」との方針を示した。



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